ニュース解説:土木
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北九州市「逆線引き」が大失速、危険地の開発抑制に住民反発
北九州市が進める災害リスクの高い土地への開発抑制策が大幅に後退した。市は2022年4月21日、都市計画の区域区分を見直して傾斜地などにある既存宅地を市街化調整区域に編入する「逆線引き」に関して、候補地を当初案の30%弱に縮小すると発表した。候補地の人口は、当初案の1%強に減る。
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地下の巨大加速器施設を公開、防災システムにトンネルで培った技術を応用
トンネルの掘削現場で実績のある通信技術が、全く別分野の陽子加速器施設に防災システムとして導入された。最適な避難経路へとリモートで誘導するとともに、平時は現場支援を後押しする。普段入れない施設内の様子とともにシステムの全貌に迫る。
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川辺川ダムの中止前提で造った振興施設、計画復活で水没の見込み
2009年にいったん中止となった熊本県の川辺川ダム建設計画の復活に伴い、中止を前提に整備した地域振興施設が水没範囲に入ることが分かった。国土交通省と熊本県が22年4月10日に同県五木村で住民説明会を開き、ダムが完成した場合の水没規模に関するシミュレーション結果を明らかにした。
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マーキングの誤りでケーソンに27cmのずれ、隣接工事が半年遅れる
りんかい日産建設が施工した茨城港常陸那珂港区(茨城県ひたちなか市)の岸壁のケーソンが、本来の位置から海側に27.1cmずれていたと分かった。ケーソンの据え付け位置を測るためのマーキングの箇所を誤ったことが原因だ。
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監理技術者の専任義務を緩和、技術検定の“学歴差別”も撤廃
国土交通省は、監理技術者の専任義務の見直しなど技術者制度の規制緩和に乗り出す。ICT(情報通信技術)の活用などを条件に、監理技術者が2つの建設現場を兼務できるようにする。
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熱海土石流で市が“虚偽”の要請文、文面の「生命への危険」認識せず
30人近くが犠牲となった静岡県熱海市の土石流で、起点にあった盛り土の造成に対応した市職員が人命に危険が及ぶ崩落の可能性を認識していなかったことが市の調査で分かった。県の調査でも、関係した県職員の大半が盛り土の大規模な崩落を予想していなかった。
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財務省「冬期集住や逆線引きも」、インフラ維持費の抑制策
財務省は、災害リスクの低減とインフラ維持費の抑制を図るため、居住地のコンパクト化を促す。災害危険地域からの移住促進や都市計画における開発抑制エリアの拡大などを提唱する。2022年4月20日の財政制度等審議会の歳出改革部会で考え方を示した。
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廃棄物の盛り土混入で罰則強化、電子マニフェスト義務化の流れも
政府は、コンクリート塊など産業廃棄物が混ざった建設発生土(残土)が盛り土に使われる事態を防ぐため、建設現場への監視を強めるとともに、建設会社への指導や罰則を強化する。建設会社に「廃棄物混じり土」の適切な処理を徹底させるため、電子マニフェスト(管理票)の利用も促す。
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専用かご枠で応急復旧省いて被災盛り土を修復、鉄道総研
鉄道総合研究所は、地震や大雨によって崩壊した盛り土の復旧工事で、独自の専用かご枠を用いる新手法を開発した。従来の手法よりも早期の本復旧が可能だ。
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シールド機停止中の北海道新幹線トンネルで地表陥没
北海道新幹線の延伸工事で、シールド機が岩塊にぶつかって掘削を中断している羊蹄トンネルの上方の地表が、縦横各5m程度、深さ約5m陥没した。岩塊を取り除くため、2022年3月から迂回路トンネルを掘り進めていた。建設主体の鉄道建設・運輸施設整備支援機構が22年4月14日に発表した。
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新技術で小規模自治体のインフラメンテ効率化を、国交省が有識者会議で方針示す
国土交通省は、技術者不足と財政力悪化が深刻な小規模自治体で、新技術活用・民間活力導入・技術継承を3本柱に、インフラ老朽化対策を効率化する方針を明らかにした。
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「無電柱化」進めても止まらぬ電柱増加、21年度は4.5万本
資源エネルギー庁は2022年4月12日、全国の電柱が21年度に約4万5000本増えたとの推計結果を発表した。国土交通省などが無電柱化を推進しているものの、新たな電柱設置のペースに追いついていない現実が明らかになった。
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外環道でシールド機破損、設計とずれた鋼製地中壁と接触
東京外かく環状道路(外環道)のトンネル工事で大泉ジャンクション(JCT)側から掘進していたシールド機が鋼製の地中壁との接触で破損し、停止した。工事を発注した東日本高速道路会社などが2022年4月12日に発表した。約半年かけて地上からシールド機前面を開削し、部品を交換する。
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1年前の地震で壊れた支承がまた破損、国と県が権限代行で橋復旧
2022年3月に発生した福島県沖を震源とする地震で、大きな被害を受けた阿武隈川に架かる道路橋2橋を、国と県が道路法に基づく権限代行で復旧する。
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液状化しない前提を転換、国交相が開けた盛り土規制の「パンドラの箱」
宅地造成等規制法の2006年の改正で骨抜きにされた谷埋め盛り土の安全性に関する技術基準の考え方が、政府が今国会で成立を目指す改正宅造法(盛土規制法)で復活する可能性が出てきた。
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大阪のトンネル作業員閉じ込め事故、シールド機やセグメントでない意外な原因
大阪府守口市で2021年12月、工事中のシールドトンネル内に作業員が2日間にわたって閉じ込められた事故で、掘削した土砂を収める容器の蓋が外れ、土砂があふれ出ていたことが関係者への取材で分かった。あふれた土砂が坑内に堆積し、作業員の退路を塞いだ。シールド機やセグメントに異常はなかった。
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市民がLINEで道路異常を通報、電話対応の業務負担減に
国際航業とtranscosmos online communications(トランスコスモス・オンライン・コミュニケーションズ、東京・豊島)は、市民からLINEで送られてきた道路や公共設備の不具合情報を、統合データベースを通じて即座に各部署で共有するシステムを開発し、2022年3月に神奈川県藤沢…
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盛り土崩落の誘因は地下水流入、熱海土石流で県検証委が中間報告
静岡県熱海市で発生した土石流で、起点にあった盛り土に周辺の川などから地下水が流入し、大規模な崩落を誘発した可能性があることが分かった。
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国交省が入札契約指針を初改正、一般競争以外の発注方式を推奨
国土交通省は、工事の特性や地域の実情に応じた施工者の選定を進めるため、一般競争以外の手法を用いた発注方式の採用を促す。2022年3月に公共工事の入札契約指針を改正し、「ECI」や「フレームワーク」と呼ばれる発注方式を新たに盛り込んだ。
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原材料価格の高騰を工事金額に転嫁できず、中小企業ほど苦戦
2021年に顕在化した原材料価格の高騰を工事受注額などに十分に転嫁できていない建設業の実態が、日銀が3カ月ごとに実施する全国企業短期経済観測調査(短観)で浮き彫りになった。