ニュース解説:土木
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総合評価入札で賃上げ企業に加点、国交省が22年度から
国土交通省は2022年4月以降に契約する案件から、直轄工事や建設コンサルタント業務の総合評価落札方式の入札で、賃金引き上げを表明した参加企業に加点する。岸田政権の方針を受けて財務省が21年12月17日に各省庁に送った通知に基づく施策だ。
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「危険な通学路」が7万2000カ所、国交省が個別補助制度を創設
政府が全国の小学校の通学路を緊急点検した結果、約7万2000カ所で交通安全対策が必要なことが分かった。政府は歩道の整備や車の速度規制などの対策を進め、23年度末までにおおむね完了させる予定だ。
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日本海溝地震で建物全壊22万棟、東日本大震災より7割増と想定
内閣府は、東日本沖の日本海溝と北海道東部沖の千島海溝をそれぞれ震源とするマグニチュード(M)9クラスの地震が起こった場合の被害想定をまとめた。日本海溝地震で想定する全壊建物は22万棟で、11年の東日本大震災で全壊した約13万棟を7割ほど上回る。
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首都高が新たな大規模修繕に着手へ、羽田トンネルを大改修
首都高速道路会社は、管内のトンネルと橋梁で増えている重大な損傷を踏まえて、2024年度から新たな大規模更新・修繕事業に着手する。21年12月22日に有識者でつくる技術検討委員会(委員長:前川宏一・横浜国立大学大学院教授)を設立。鉄筋の腐食やコンクリート床版の減厚、支承の圧壊といった損傷への対応策に…
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モーター不要の地盤改良でCO2を30%減、建屋内でも施工可能に
不動テトラとソイルテクニカは、地中に円柱状の地盤改良体を造る高圧噴射かくはんで、二酸化炭素の排出量を従来工法と比べて約30%削減する「モールエコジェット工法」を開発した。小型の機械を使うため、補助用のクレーンが不要で、地下駐車場や建屋内など、従来は施工が難しかった場所でも地盤改良できる。
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新設する長大コンクリート橋の補強材全てにFRPを採用
米ノースカロライナ州で、全長1000mのプレストレストコンクリート橋への架け替え工事において、桁と杭の補強材全てに繊維補強プラスチック(FRP)が採用される。長大コンクリート橋の主要構造部材の緊張材や補強筋に、鋼材を使わないのは珍しい。
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技能者の処遇改善に待ったなし、CCUSの推進組織を刷新
国土交通省は、建設キャリアアップシステム(CCUS)を活用して技能者の処遇改善を図るため、建設業団体などと共に新たな協議会を設置した。社会保険加入の徹底、労務費と法定福利費の確保、建設業退職金共済(建退共)の普及に本腰を入れる。2021年12月20日に初会合を開いた。
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熱海土石流は氷山の一角、総務省調査で不適切な残土埋め立て120件
土砂の埋め立てを規制する条例を持つ41自治体で、法令や条例に反する不適切な建設残土の埋め立てが2015年度以降に120件見つかった。そのうち、約4割に当たる45件で土砂流出などの被害が生じていた。
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相次ぐ陥没事故受けシールド工事の指針作成、管理項目を体系化
東京都調布市で起こった道路陥没などシールド工事で相次ぐ事故を受け、国土交通省は調査や設計、施工に関するガイドラインを策定した。2021年12月21日に、過去のトラブルや工夫の事例集と共に公表した。
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22年度予算は国土強靱化3%増、公共事業費は高水準を維持
政府は2021年12月24日、一般会計総額が過去最大となる107兆5964億円の22年度予算案を閣議決定した。21年度当初予算よりも9867億円(0.9%)増え、4年連続で100兆円を超えた。過去最大の更新は10年連続。高水準の公共事業関係費を維持しており、引き続き国土強靱化へ力を注ぐ。
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法面に吹き付けるモルタルの製造から圧送までを1人でこなす
ライト工業は、法面に吹き付けるモルタルなどの製造から圧送までを作業員1人がリモコンで操作するプラントシステム「Automatic-Shot R」を開発した。熟練の作業員を個別の機械に張り付ける必要がなくなる。2021年12月に国内の建設現場で本格的な運用を始めた。
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全国657カ所で災害の恐れ、危険な盛り土に「隙間のない規制」を
必要な災害防止措置を確認できなかった盛り土が全国に657カ所あることが、都道府県の実施した盛り土総点検の暫定結果で明らかになった。政府が2021年12月20日に開いた有識者検討会で報告した。
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新東名の全線開通が再延期へ、トンネル工事難航で23年度に間に合わず
2023年度に予定していた新東名高速道路の全線開通が再度延期される見通しとなった。未開通区間のうち、新秦野インターチェンジ(IC)―新御殿場IC間(延長25km)の工程がトンネル工事の難航で遅れている。残りの未開通区間の伊勢原大山IC―新秦野IC間(延長13km)は、これまでの予定通り22年3月ま…
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シールド工事で前方から水が流入か、作業員が2日間閉じ込められる
大阪府守口市で工業用水道管を敷設するシールドトンネルの工事中に水が流入し、作業員が2日間にわたって坑内に閉じ込められた。作業員は2021年12月18日の朝、救助隊員らに救出された。命に別条はなかった。シールド機の前方から流入した水が掘削済みの土砂などを押し流してトンネルを閉塞させたとみられる。
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西松建設が伊藤忠と資本業務提携、物言う株主と関係解消
西松建設は伊藤忠商事と資本業務提携を結び、アクティビスト(物言う株主)のシティインデックスイレブンス(東京・渋谷、以下、シティ)との関係を解消した。2021年12月15日に伊藤忠商事が、シティなどから西松建設の株式を買い取った。西松建設は建材販売や不動産開発を手掛ける伊藤忠との提携を通じ、既存事業…
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国交省の職員自ら統計データ書き換え、第三者委で1カ月以内に検証
国土交通省による受注統計のデータ書き換え問題で、同省の職員が自ら作業をしていたことが分かった。会計検査院の指摘を受け、不適切な集計処理だと認識した後も、1年以上にわたって書き換えを続けていた。
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国交省が受注統計で二重計上、都道府県にデータ書き換え指示
国土交通省は、毎月公表する「建設工事受注動態統計調査」で、調査対象の建設会社の受注データを書き換えた上、未提出分の推計値と二重計上していた。
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インフラ整備は補助金で、「交付金では適切に資金配分されず」
自治体のインフラ整備に対する国の関与が強まってきた。自治体がある程度自由に使える交付金から、国が使途を限定する補助金へと、国の財政支援の転換を迫る動きが相次いでいる。
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琵琶湖大橋の無料化を5年延期へ、改修事業費7割増で
滋賀県道路公社は、琵琶湖大橋などで進めている改修工事の事業費を約7割増額し、同橋を含む有料道路の無料化を5年ほど延期する方針を固めた。工事内容の見直しなどに伴って事業費が膨れ上がった。
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「ディスインセンティブも」、財政審が公共事業予算の配分で建議
公共事業の予算配分を巡り、自治体がソフト対策に注力する程度によって国の財政支援に差をつけるべきだとする議論が浮上している。自治体が法定の避難計画の作成などを怠れば、国の補助金支給の優先順位を低くする方策も視野に入れる。財務省の財政制度等審議会の建議(意見書)で明らかになった。