ニュース解説:土木
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桁端部が浮いた上関大橋で本復旧、「応力腐食割れ」で鋼棒破断
桁の浮き上がりを抑えるPC鋼棒が破断して路面に約20cmの段差が生じた上関大橋(山口県上関町)で、県は2021年10月28日に本復旧工事に着手した。浮き上がった桁端部と橋台下の地盤をつないだグラウンドアンカーを緊張し、段差を解消する。22年3月までに終える予定だ。
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「行政はなめられている」、都道府県の6割が盛り土の対応に苦慮
全国知事会が静岡県熱海市の土石流災害を受けて実施したアンケートで、都道府県の6割が地元で造成された盛り土への対応に苦慮している実態が浮き彫りになった。事業者が是正指導に従わないなど、熱海市と同様の悩みを抱える自治体は多い。
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シールド工事のトラブル集を公表、相次ぐ事故受け国交省が指針策定へ
東京都調布市で起こった道路陥没などシールドトンネル工事で相次ぐ事故を受け、国土交通省が施工技術の底上げに乗り出した。日本建設業連合会を通じてトラブル事例を収集し、2021年10月25日、有識者でつくる技術検討会で結果の一部を公表した。
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福島第1原発の凍土壁が一時10℃に、排水路の漏水で温度上昇か
福島第1原子力発電所で、汚染水増加の要因となる原子炉建屋への地下水流入を防ぐ「凍土壁」の一部で温度が上昇し、最高で10℃を超えたことが分かった。凍土壁は地中の温度が0℃以下なら「健全」とされるが、温度上昇後も遮水性は維持されているという。
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6車線を維持しながら床版交換へ、東名多摩川橋
中日本高速道路会社は東名高速道路の東名多摩川橋で2021年11月下旬、老朽化した床版の交換に本格着工する。中央分離帯のスペースなどを活用し、上下線合わせて6本の車線を、夜間を除いて維持しながら約3年かけて工事を進める。
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30年度に再エネ倍増、国の基本計画は「野心的」か「原発延命」か
政府は、国の新たなエネルギー基本計画で、2030年度の電源構成(発電設備の割合)に占める再生可能エネルギーの割合を現状の2倍の4割近くに引き上げる目標を掲げた。政府は「野心的水準」と表現するが、裏付けが十分でない予測の積み上げとみる向きもある。一方で、再エネの目標値は、原子力発電や石炭火力発電の延…
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リニア工事で初の死亡事故、トンネル掘削現場で発破後の点検中に崩落
リニア中央新幹線の工事で初の死亡事故が起こった。2021年10月27日、岐阜県中津川市で掘削中のトンネルで、発破作業後の岩盤の点検中に地山が崩れ、男性作業員2人が巻き込まれた。1人が死亡し、もう1人が左足を骨折する重傷を負った。
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橋梁点検写真のピンボケをその場で自動判定、キヤノンの処理ソフト
キヤノンと中日本ハイウェイ・エンジニアリング東京(東京・新宿)は、橋梁などの点検時に撮影する写真の品質を現場で自動判定するソフトウエアを共同で開発した。画像のピンボケや解像度不足、ぶれの度合いを判別して仕分け、画像の目視確認や再撮影の手間を減らす。2021年度中に点検業務で試験運用を終え、22年度…
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樹木1本ごとのCO2吸収量を地図で見える化、東邦レオがサービス開始
東邦レオは樹木がCO2を吸収する量や大気汚染物質を吸着する量などを評価するシステム「U-GREEN」を開発した。樹木の伐採や植樹による影響をシミュレーションすることができる。
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災害復旧のヒトとカネの問題解消、JV準則と公共約款の見直しで
国土交通省は、災害復旧の妨げとなるヒトとカネの問題の解消に乗り出した。東日本大震災の復旧工事に限定している復興JV制度を全国に拡大する他、災害復旧工事の期間中に不可抗力で損害が発生した場合の受注者の費用負担を軽減する。2021年10月15日に開いた中央建設業審議会の総会で制度改正の方向性を示した。
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「総合評価入札は不公平」、飯塚市の建設会社17社が廃止を請願
福岡県飯塚市が導入している総合評価落札方式の入札に対し、市内の建設会社17社が廃止を求める請願書を市議会に提出した。市議会では激しい論戦の末、21年9月27日に採択したものの、市は廃止する考えはないとしている。
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熱海の盛り土崩落は「時間の問題」、危険知りながら抜本策打てず
30人近くが犠牲となった静岡県熱海市の土石流災害で、県と市は10年以上前から盛り土の崩落の危険性を認識しながら、抜本的な対策を講じてこなかった。
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再エネ技術基準見直しへ、太陽光の傾斜地設置と洋上風力の構造計算
経済産業省は、太陽光と風力の発電設備に関する技術基準を見直す。土砂流出事故が相次ぐ太陽光発電設備では、2022年3月末までに傾斜地での架台設計の注意点などを盛り込む。一般海域での利用を促す再エネ海域利用法の施行で工事計画の増加が見込まれる洋上風力発電設備では、22年4月以降の早期見直しを目指す。
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骨材不要の石炭灰コンクリート、強固な防潮堤を短工期で実現
安藤ハザマが独自開発した、石炭灰を原料とする「アッシュクリート」が、福島第1原子力発電所の津波低減対策で着底させたメガフロートに引き続き、建屋内への津波流入の抑制で新設する防潮堤にも採用される。2021年6月に着工し、23年度末の完成を目指す。
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超高強度コンクリートを現場で造れる、大成建設の移動式プラント
大成建設は、超高性能繊維補強コンクリートなどを施工現場で製造する移動式プラント「T-ITAN(タイタン)モバイルプラント」を開発した。プラントには3つのタイプがあり、現場での運用期間やコンクリートの必要量などに応じて選択できる。
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リニアのシールド機が東京・品川で発進、地上への影響を調査
リニア中央新幹線の大深度地下トンネルの掘削が東京都品川区で始まった。JR東海が2021年10月14日、シールド機の発進作業に着手した。地上への影響や工程を検証するため、区間を約300mに限定して掘進する。東京外かく環状道路(外環道)の建設工事で起こった東京都調布市の陥没事故などを受けた取り組みだ。
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バンテリンで有名な興和がセメントを使わないコンクリート補修材を販売
バンテリンなど医薬品の事業を手掛ける興和(名古屋市)が、土木・建築の補修事業へ力を入れている。同社は劣化したコンクリート構造物に適用可能な、セメントを使わない常温硬化型ジオポリマー系補修材の販売を2021年10月に始めた。今後、欧州で補修材を製造することも視野に入れている。
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後絶たぬ九州地整の収賄事件、今度は「たこつぼ職員」の暴走か
国土交通省九州地方整備局の職員が2021年9月に加重収賄罪で起訴された事件は、外部の監視が届きにくい「たこつぼ化」した職場で起こった。
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法面のロックボルト挿入時間を5分の1に、削孔と一括で機械化
ライト工業と古河ロックドリル(東京・千代田)は、法面の削孔からロックボルトの挿入までを1台の油圧ショベルで実現するアタッチメント「ボルト挿入機能付きリモートスカイドリル」を共同開発した。法面上で重機を誘導したり、ボルトを挿入したりする作業員が不要になる。2021年6月に神奈川県の建設現場に導入し、…
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全国初の水道管更新PFIが頓挫、応募2グループが相次ぎ辞退
老朽化した水道管をPFI(民間資金を活用した社会資本整備)で更新する大阪市の全国初の事業が、開始半年前に頓挫した。公募に応じた2つの企業グループが採算の問題などで辞退したためだ。市は計画を白紙に戻し、事業を一から見直す。