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 米中の貿易戦争は沈静化の様相が見えない。トランプ政権は米国の貿易赤字に加えて、為替についてもドル高への懸念を示している。これから新製品のシーズンを迎える米アップルにとって関税の行方を含め、貿易戦争に神経質にならざるを得ない事情がある。

Apple Watchが関税の対象に

 現時点では2000億ドル規模の中国製品に対して10%の関税を適用する方針が示され、パブリックコメントを募集している最中だ。英ロイターの報道によると、6000品目を超えるリストにデータ通信機器が含まれ、Apple Watchの名前が挙がっているという。

 同リストには2015年発売のApple Watchのほか、活動量計のFitbit Charge/Charge HR/Surge、スマートスピーカーのSONOS Play 3/Play 5/SUBなども含まれる。リスト自体が若干古く、最新のApple Watch Series 3やSONOS One/Beamなどは含まれない。

 ただリストはアップデートが予測され、今秋にこのまま発行となれば、アップルは米国向けにApple Watchの10%値上げを実施する可能性がある。Apple WatchはiPhoneと同様、9月にアップデートを予定し、画面の拡大やインターフェイスの刷新といった改良を加えたSeries 4が登場するとみられている。

 2018年7月にニューヨークNASDAQ市場に上場申請した米ソノス(Sonos)は、関税で製品価格の上昇や売り上げへの影響懸念があることを上場申請書に記した。

iPhoneが対象となる可能性も

 アップルのティム・クックCEO(最高経営責任者)は4月に、中国との貿易戦争に関する問題についてトランプ大統領と話し合ったとされる。スマートフォンは現状、関税リストから除外されているが、トランプ大統領が全品目への適用を示唆していることから、そうなればiPhoneへの関税も避けられない事態となる。

 アップルは製品のデザインこそ米国で手掛けるが、世界中から技術と部品を集めたうえで中国で製品を組み立て、世界中に出荷している。昨今は台湾やインド、ブラジルなども最終組立地に追加されたものの、やはり生産の主体は中国である。

 必ずしも安価な労働力だけが理由ではない。主要パーツの生産地が東アジアに集中しており、工場所在地における様々な資源の融通などを踏まえ、年間2億台ものiPhoneを製造する現在の仕組みが実現したのだ。

 iPhoneのブランドは米国だが、生産は中国であり、アップル製品のほぼ全てが中国製品となる。アップル製品は多くの消費者によく知られ、身近な存在でもあるため、米中貿易問題の象徴的な存在として注目が集まりやすい事情がある。