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XSとXRで共通する仕様の意味

 一方、iPhone XSとiPhone XRで共通する仕様に着目すると、アップルがiPhoneのスタンダードをどこに置いているかが分かる。

 具体的には、グラフィックスとニューラルエンジンを大幅に強化して省電力性を高めたプロセッサ「A12 Bionic」、3D顔認証を高速化した「TrueDepthカメラ」、ホームボタンをなくして画面を縁まで広げたオールスクリーンなどだ。いずれもiPhone Xで示したコンセプトを踏襲し、廉価版を通じて一気に普及させようとしている。

 特にA12 Bionicは、AR(拡張現実)や機械学習を活用したアプリを軽々と動かせる性能とバッテリーの持続時間にこだわった。スマートフォン向けでは初となる7nmプロセスも採用した。製造を手掛ける台湾TSMCには億単位で発注を約束していると推測され、廉価版でも採用して初めて実現できたと見てよいだろう。

 オールスクリーンについては、10年間保ってきたホームボタンのUI(ユーザー・インタフェース)から、あらゆる操作をよりスムーズにディスプレー内で完結できるインタフェースへと移行するきっかけとなった。

 オールスクリーンはAndroidスマートフォンのほうが先行。画面上部のノッチ(切り欠き)はiPhone X以降に採用デバイスが増えてきた。単なるトレンドのように見えるかもしれないが、アップルは今回のiPhone XSとiPhone XRでも共通して採用し、2018年モデルでインタフェースの移行を完了させようとしている。

松村 太郎(まつむら たろう)
ジャーナリスト
松村 太郎(まつむら たろう) 1980年生まれ。米カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に『LinkedInスタートブック』(日経BP社)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、『ソーシャルラーニング入門』(日経BP社)など。