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 それにもかかわらず、アップルが売上高の大幅な拡大を予想しなかったということで、販売台数の苦戦を見込んでいるとの見方が広がった。それを裏付けるかのように、同社は2018年10~12月期以降、iPhone、iPad、Macの販売台数を四半期ごとに開示しない方針を明らかにした。

 アップルはこの理由について「廉価版からハイエンドまで幅広い製品をそろえるため、販売台数が業績を反映しなくなった」と説明した。だが、株式市場はそのまま素直に受け止めず、利益確定と失望売りにつながったようだ。

世界で始まるスマホのマイナス成長

 スマートフォンの販売台数をこれ以上伸ばすのが難しいことは、別にアップルに限った傾向ではない。米ストラテジーアナリティクス(Strategy Analytics)の調査によると、2018年7~9月期における世界のスマートフォンの出荷台数は3億6000万台で、前年同期比8.4%減だった。

 上位のメーカーで販売台数を伸ばしたのは、2位の中国ファーウェイ(HUAWEI、前年同期比32.5%増)や4位の中国シャオミ(Xiaomi、同19.1%増)、3位のアップル(同0.4%増)となっており、首位の韓国サムスン電子(同13.3%減)と5位の中国オッポ(OPPO、同0.6%減)は減少した。残りのメーカー(合計)は同24.3%減だった。市場全体で見れば縮小傾向が始まっている。

 こうした状況を踏まえると、アップルの見立ては妥当と言える。決算ではウエアラブルデバイスやホームデバイスの拡大を強調しており、iPhoneとiPadの顧客基盤をテコにしたサービスビジネスへと軸足の転換を図ろうとしている。

 アップルが提供するサービスの購読者数は現在、3億3000万人となっている。同社デバイスの普及率を考えれば、少なくとも2倍の伸びしろを見込めるはずだ。テレビやエンターテインメント、決済、健康、医療といった人々の生活に密接に関わるサービスの充実化も図り、すでに対策を進めている。

 それでもアップル株が大幅に下落したのは、いつかは訪れる「iPhone成長神話の終焉」を突き付けられたからだろう。

松村 太郎(まつむら たろう)
ジャーナリスト
松村 太郎(まつむら たろう) 1980年生まれ。米カリフォルニア州バークレー在住のジャーナリスト・著者。慶應義塾大学政策・メディア研究科修士課程修了。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。近著に『LinkedInスタートブック』(日経BP社)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、『ソーシャルラーニング入門』(日経BP社)など。