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 「日本企業は根回し文化に漬かっているため、結論を出すのに恐ろしく時間がかかる。だから変化が激しいデジタルの時代に対応できない」。これはよく語られる話だが、実はその先があるのを最近になって知った。次のように続く。「しかも時間をかけて出した結論がろくでもない」。

 いやぁ「なるほど」と感心するとともに、ひどく心配になった。ボトムアップなのかコンセンサス重視なのかは知らないが、そんな意思決定プロセスを一刻も早く悔い改めないと、デジタルの時代に日本企業は絶滅危惧種になってしまう。特に我らがSIerは深刻だ。SIer各社が経営戦略として言い出した「DX(デジタルトランスフォーメーション)企業になる」というのが、まさに「根回し文化のため結論を出すのに恐ろしく時間がかかる。しかも出した結論がろくでもない」の典型なのだ。

 今回の「極言暴論」では、このテーマを論じようと思う。ただし、今までとは少し趣向を変えようと思う。いつもはSIerの駄目さ加減、あるいは悪行の数々をあげつらって、ボコボコにしていた。今回はそうではなく「このまま人月商売、ご用聞き商売を続けていては駄目だ」と考え行動しているSIerの改革派の幹部らに警告を発したい。

 そういえば、「極言暴論」の読者からTwitterなどで怒りのコメントが寄せられることがある。かくのごとく極端な言い方(極言)で乱暴な議論(暴論)を仕掛けるのだから、当たり前と言えば当たり前だ。中でも多いのが「SIerをディスって何が楽しいのか」「木村はSIerに恨みでもあるのか」といったコメント。しかしそれは違う。

 別にSIerをディスったところで面白くも何ともないし、SIerを恨みに抱いたこともない。ただただSIerに人月商売やご用聞き商売から脱却してもらいたい一心である。もちろん新たなIT企業が成長してSIerを一掃してくれるなら、それでも一向に構わない。とにかくSIerが多重下請け構造の元締として君臨する限り、日本のIT業界はろくでもない状態が続く。それは技術者にとって不幸なだけでなく、日本全体にとっても不幸だ。

 どこかで言及したことがあるが、この極言暴論でSIerの駄目さ加減や悪行の数々を指摘し続けるのは、SIerの改革派の人たちを支援したいからだ。もちろん記事を書いたところでSIerの守旧派の面々が悔い改めるわけではない。だが爆弾のように落とし続ければ、守旧派と戦い、あるいは彼らを説得し、より良き企業に変革しようとしている改革派の人たちの支援にはなるはずだ。

 実際、どれほど極言暴論の記事が効いたのかは分からないが、最近では変革に取り組むと宣言するSIerが増えてきた。例えば「お客さまのDXを支援するだけでなく、自社もDXに取り組む」といった具合。「いやぁよかった」と言いたいところだが、残念ながら冒頭に書いたように大方のSIerの「時間をかけて出した結論がろくでもない」のである。

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