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 みずほ銀行のシステムトラブルのお粗末さには驚かされた。トラブルが発生した2021年2月28日が「運悪く」日曜日だったとはいえ、キャッシュカードや預金通帳をATMに吸い込まれてしまった人たちを長時間にわたり「放置」する結果となった。中には4時間以上も待ち続けた人もいたという。自分がその立場だったら不安と怒りで耐えがたいだろう。気の毒としか言いようがない。

 何でこんなことになるのか。断っておくが、システムトラブルを絶対に起こすなと言っているわけではないぞ。システムトラブルは不可避だ。何せ4000億円以上の巨費をつぎ込んでしまった大規模システムだ。いくらアーキテクチャーを見直し、プログラムコードをきれいにしたところで、もはや人知を超えている。今後も何らかのトラブルは間違いなく起こる。「起こすな」と言っても無理だし、「絶対に起こしません」と言ったら嘘つきだ。

 問題は何でこんな「惨事」にしてしまったのかだ。システムに何らかの障害が発生して、一部あるいは全部のATMが使えなくなるケースは想定できて当然だ。しかも「不正など重大エラーが生じたときに備えて、ATMは取り込んだカードや通帳を本人確認などが済むまで返さない仕様だった」という。だったら、なぜだ。そうした事態が休日に発生することも普通に想定できる。にもかかわらず、備えを怠っていたのだから意味が分からない。

 そう言えば最近、意味不明の重大トラブルが多すぎる。2020年度の新型コロナウイルス禍のさなかに発生した5つの重大トラブルをここに並べてみよう。いわば「木村が選ぶ2020年度の5大システムトラブル」である。

  • 新型コロナ禍対策の10万円「特別定額給付金」でオンライン申請が大混乱
  • 「ドコモ口座」を使った不正出金事件がゆうちょ銀行などで相次ぎ判明
  • 東京証券取引所のシステム障害で株式売買が終日停止
  • 接触確認アプリ「COCOA」の不具合を4カ月以上も放置
  • みずほ銀行のシステム障害でATMにカードを吸い込まれた客を長時間放置

 こう並べてみると、読者の皆さんも改めてそのひどさにあきれるだろう。トラブルを引き起こしたのは官庁や金融機関、通信事業者といった面々で、いずれも他の企業以上にシステムトラブルやセキュリティー関連の事件事故を避けなければいけない立場にある。しかも、単なるシステム面だけの問題ではないので罪深い。あまりに愚か過ぎて、まさに意味不明である。