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今回は「暴論のふりをした正論」は無理

 さて、この「一億総ゆでガエル」状態から脱却できる策はあるか。はっきり言えば「ない」。身も蓋もないが、ゆでガエル状態に陥った企業や個人、そして国は、ゆで上がるまでそこを脱却できない。ゆでガエル状態から脱却できるような企業や人は、そもそもゆでガエル状態には陥らない。だから「デジタル化、やばいな。DX、やらなきゃな」と思いながらも、全てが中途半端で没落するしかないのだ。それが、ゆでガエル状態の怖さなのだ。

 実は、今回の極言暴論をここまで書き進めてきて、本当に困っている。この極言暴論は以前の記事でも触れた通り、「暴論のふりをした正論」を書くことを旨としている。なぜなら正論はいつの世でも「当たり前のこと」であり、当たり前のことを当たり前に書いても誰にも読んでもらえないからだ。そして読んでもらえないのなら、存在しないのに等しい。だからこそ、多少の反発はものともせず「暴論調」で極言暴論を書いてきたわけだ。

 しかし、今回の記事は困った。このテーマを選んでしまったことを後悔している。書くべき正論が本当にない。この極言暴論を8年以上にわたり書き続けてきたが、こんなことは初めてだ。記事の結論は本当の暴論でしかないのだ。

 つまり結論は次のようになる。デジタル革命の波に乗れない日本や大半の日本企業は没落するしかない。本気でDXに取り組めば今なら間に合うかもしれないが、ゆでガエル状態に陥っている以上、それは不可能だ。日本がどれだけ落ちぶれるかまでは分からないが、IT/デジタル後進国といったレベルではなく、本当の意味での後進国に落ちぶれる可能性が高い。多くの産業が競争力を失い、経済は停滞する。当然、いわゆる中間層の多くは貧困層に転落し、貧富の差が極端な社会となる。

 全くのディストピアだが、本当の暴論はここからだ。ゆでガエル状態になっていない人や企業は、そんな日本と運命を共にする必要はない。先ほど「一億総ゆでガエル」と書いた。「一億総」は通常、日本人全員という意味だが、日本の実際の人口は少子化とはいっても1億2000万人以上に達する。多少ふざけた論の展開だが、1億人がゆでガエル状態でも、2000万人程度は本当に「何とかしないとやばい」と考えているはずだ。そんな人たちは「没落する日本」に巻き込まれない場所に身を置くことをお勧めする。

 例えば優秀な技術者なら、十年一日のごとく「人月商売からの脱却」を叫んでいるだけの日本のITベンダーをとっとと見限り、米国シリコンバレーの企業や東南アジアのITベンチャーに転職するのもいいだろう。「デジタル革命の中でリーディングカンパニーを目指す」という志を持つ日本企業がもしあるのなら、本社を海外に移して日本企業をやめることも考えるべきだ。「日本のDXのため踏みとどまって頑張る」という人は立派だが、没落は避けられないことだけは心に留めておいたほうがよいぞ。

 で、日本がゆで上がってしまえば、つまり本当に「落ちぶれてすまん」状態になれば、ちょうど戦後の日本のように再び立ち上がろうという機運や動きも出てくるだろう。ゆでガエル状態にならずデジタル革命を勝ち残った人や企業は、そのときこそ全力で日本の未来のために尽くしてくれ。おそらく、そんな先の話ではないはずだ。それまでくれぐれも、ゆでガエルの一員にならないようにしてくれよ。