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 いやぁ、変われば変わるものだ。何のことかと言えば、大企業に数多く存在した「抵抗勢力」の面々の急変ぶりだ。基幹系システムの刷新の際に「何が業務改革だ。やり方を変えたら仕事が回らなくなるじゃないか」と激しく抵抗し、「現行通り」のシステムをつくれと強要していた利用部門の部課長たちが、今は素直にテレワークを受け入れて仕事を回している。何とも不思議な話だ。

 皮肉で言っているのだ。くれぐれも「新型コロナウイルスの感染防止のため3密を避けなければならないのだから当然だろ」などと真顔で反論しないでいただきたい。確かに緊急事態宣言が発令され「人との接触を8割減らす」との目標が掲げられているぐらいだから、テレワークを導入して仕事のやり方を変えるのは当然である。

 だが、基幹系システムの刷新に伴う業務改革も「当然やらなければならないこと」のはずだ。ところが日本の大企業では多くの場合、利用部門が「業務のやり方を変えたら絶対に仕事が回らなくなる」とすごむ。で、愚にもつかない属人化した業務のやり方をシステムに反映させる。その結果、全体最適の観点からの改革は見事に頓挫し、大金をはたいたシステムは効率化や生産性の向上に全く寄与しない結果となる。当然やるべきことを拒否した結果がこれだ。

 「おいおい、基幹系システムの刷新と単なるテレワークを同列に論じるのはおかしいだろう」と笑う読者もいるだろうが、もちろんそんなことは分かっている。だが「同列に論じるのはおかしい」というのはシステムサイドの話である。業務のやり方を変えなければいけない利用部門の人たちからすると、その「厄介さ」においては全く同列のはずだ。

 いや、違うな。利用部門の人たちにとって同列ではないかもしれない。入念に計画した通りの手順で業務を変革せよと言われるのと、可及的速やかにテレワークを全面導入せよと命じられるのとどちらが大変か。圧倒的に後者のほうが「むちゃぶり」である。特に部課長は自分もテレワークをしながら、テレワークしている部下の勤務状態や商談などの進捗具合を管理しければならない。本来なら「絶対に仕事が回らない」事態のはずだ。

 だから「変われば変わるものだ」と思うわけだ。「やればできるじゃない」と皮肉交じりに褒めてあげたくもなる。ZoomなどのWeb会議システムを社内会議だけでなく客との商談にも使いこなす人が大企業でも増えてきていると聞く。さすがにデジタルトランスフォーメーション(DX)とまでは言えないが、少なくとも大企業ではビジネスのデジタル化が一気に進んでいると言えそうだ。