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 この「極言暴論」で何度か取り上げたが、しばらく放置していた大問題がある。大問題と言うより、ユーザー企業のIT部門がSIerに対してやらかす悪行と言ったほうが正しい。何のことかと言うと、IT部門がSIerに「システム開発を御社に発注するから」などと偽って作らせた提案書を盗む行為である。

 極言暴論の過去の記事を読んだことがない人でも、提案現場に出ているSIerの技術者なら「ああ、あれか!」と膝を打つであろう。なかには「私もやられたことがある」と思い出して歯ぎしりする人もいるだろう。一方、IT部員の読者には、過去の己の悪行を思い出し赤面している人がいるはずだ。あるいは「だって仕方なかった」と開き直るやからもいるかもしれない。

 そんな悪行を知らず「提案書を盗むってどういうこと?」と不審に思っている読者もいるだろうから、少し説明する。客のIT部門はSIerに提出させた提案書を基にRFP(提案依頼書)を作成し、複数のSIerを呼んでコンペを開く。もちろん提案書を出したSIerはコンペに参加するが、後で述べる理由でほぼ間違いなく失注する。結果、客の口約束は幻に終わり、提案書を出したSIerは提案書を盗まれただけで終わる。

 ご存じの通り、システム開発のための提案書を作るのは相当の工数がかかるし、客の業務プロセスの見直しなどを含めた提案ならば知的成果物としての付加価値も高い。本来ならば客がやるべき要件定義なども引き受けたうえでの提案だから、うそをつかれたうえに盗まれたとあれば、担当した技術者は憤まんやるかたないはずだ。

 で、最近、客に提案書を盗まれたというSIerの人の話を久しぶりに聞いたので、Twitterで「客の悪行が依然として後を絶たないようだ」とつぶやいた。するとフォロワーらから「私も最近やられた」といった「被害」を訴えるコメントが多数寄せられた。企業だけでなく地方自治体の悪行に言及する声もあった。以前の極言暴論で相当厳しく非難したが、今でも客の悪行は続いているようだ。

 以前なら提案書をそのままコピペしてRFPを作るといった「不法行為」もまかり通っていた。これは明確に著作権侵害である。さすがに最近はコンプライアンス重視なのか、アイデアだけ盗む例が増えたようだ。つまり提案の内容をベースにRFPとして作り直すわけだ。ただ今でも平気でコピペして、提案書に表示されてあったコピーライトを自社のものに書き換えるやからもいるそうだから、あきれ果てるしかない。