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 例の国家プロジェクトは、大失敗が必定だから絶対にやめるべきだな。システム開発に限った話ではないが、失敗プロジェクトの多くは最初から問題点が見えている。だが、その解決が難しいとなると、本稼働日を変えない「まずスケジュールありき」を大前提にして、問題点を見ないように、深く考えないようにして突き進む。で、案の定、大炎上となる。例の国家プロジェクトはまさにそのパターンを踏襲している。何の話かというと「自治体情報システムの標準化・共通化(以下、自治体システム標準化)」プロジェクトのことである。

 この書き出しを読んで、「何だ。木村はまたディスるつもりか」と既に何人かの関係者はお怒りになっていると思う。確かに以前、この「極言暴論」でこのプロジェクトが大失敗に終わるだろうと「予言」した。失敗する根拠も明確に示した。なぜそんな記事を書いたのかというと、極言暴論の全ての記事に共通することだが、問題点を明確に示すことで、関係者に悔い改めてもらい、現状の改革に乗り出してもらいたいからだ。

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 ところが、一部の関係者(一部じゃないかもしれないが)にとっては極めて不愉快らしい。中には「木村は単に面白がっているだけじゃないか」と怒っている人もいると聞く。まさに、自治体システム標準化プロジェクトの大問題を指摘されて立腹しているわけだ。冒頭に書いた通り、スケジュールありきで、問題点を見ないように、深く考えないように突き進もうとしているのに、「木村は何を言っているんだ」といったところであろう。

 だが、問題点を見ないように、深く考えないようにして突き進まれたら、それこそ大変だ。このプロジェクトは2025年度末までに約1700の地方自治体の基幹システムを標準準拠システムに移行させるもので、そうするとあと3年半しかない。で、国は最近になってようやく、住民基本台帳や国民健康保険など20の基幹業務で使うシステムの標準仕様書を公表した。国が他にやることといえば、補助金で支援することぐらいだ。

 さて、これから3年半の期限で約1700全ての自治体において、本来の意味での標準準拠システムにつつがなく移行できると思う人がいるだろうか。IT関係者なら誰一人として、このプロジェクトはうまくいかないと直感的に思うはずだ。もちろん、ITベンダーらの必死の帳尻合わせにより、多くの自治体で「なんちゃって標準準拠システム」が完成するだろうが、あくまでも「なんちゃって」であり多額の税金がドブに捨てられて終わる。そして、少なからぬ自治体でプロジェクトが大炎上して、悲惨なデスマーチとなる。そんな未来しか見えないはずだ。

 ちなみに、先に公開した「極言正論」の記事は読んでいただいただろうか。同じく自治体システム標準化プロジェクトの問題点を指摘したもので、実は今回の極言暴論はその連動である。もちろん極言正論のほうを読んでいなくても、今回の極言暴論を問題なく読める。ただし、極言正論は極言暴論と違い正統派コラムなので、そういったスタイルをお好みなら、ぜひそちらを読んでいただきたい。この極言暴論の記事でも後ほど紹介するが、正統派らしくきちんと提言も盛り込んであるしな。

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