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 この「極言暴論」の連載を始めて、そろそろ7年目を迎える。ほぼ毎週書き続けてきたから、よくもまあネタが尽きなかったなと我ながら感心する。最近は、企業の経営者のデジタルリテラシーの幼稚さや、行政のIT・デジタル施策の駄目さ加減にも論評の戦線を広げているが、メインで暴論してきたのはユーザー企業のIT部門や人月商売のITベンダーにおける構造問題だ。そんな「スモールワールド」でネタが尽きなかったのは恐るべきことだ。

 スモールワールドと書いたが、この小さな世界は問題だらけで諸悪の根源だ。日本企業はDX(デジタルトランスフォーメーション)などで後れを取り、ハイテク産業であるはずのIT業界は日本の場合、多重下請け構造の人月商売という前近代的な労働集約産業のまま、世界のイノベーションから取り残された。その結果、日本は「IT後進国」に落ちぶれ、一つ間違えば先進国の地位から転がり落ちかねない事態を招いた。

 まあ、そんなわけなので、極言暴論のネタが尽きないのは当然のことなのだ。もう少し言えば、極言暴論で取り上げてきたネタは、半世紀前に日本企業で「電算室」が設置されて以来、あるいは今さらどことは言わないが、ハイテク産業を人月商売にすり替えた愚劣なITベンダーが誕生して以来、長く蓄積されてきた問題なのだ。誰もがうすうす分かっていながら、正面から問題視する人がほとんどいなかった。なので、書くべきネタは無尽蔵にあり、それを取り上げることにより、この極言暴論が少しは社会のお役に立てたはずだ。

 あっ、言っておくが、極言暴論の連載をそろそろ終了しようというわけではないからな。記事の前振りのつもりで書いていたら、まるで「連載終了の辞」のようになってしまった。実は、過去にどんな記事を書いたのかと各記事の見出しを見ているうちに、「よくもまあ、こんなに書いてきたものだ」と感慨にふけってしまい、そんな気分のまま長々とこんな駄文を書いてしまった。実に申し訳ない。

 過去の記事を調べた本来の目的は、記事のネタの配分を確認するためであった。やはりと言うか、ユーザー企業のIT部門のネタであっても、SIerをはじめとするITベンダー側のネタであっても、圧倒的にシステム開発絡みの話が多かった。IT部門の丸投げやITベンダーの多重下請けなどの問題が集約的に現れるのはシステム開発なので、そうなるのはやむを得ない。

 しかしその分、システム保守運用絡みのネタの記事数が少なくなる。もちろん7年近くも書き続けてきたため、システム保守運用での問題点を指摘する記事もそれなりにはある。だが、それらの記事を吟味したところ、最も大切な点を明確に指摘していないことに気がついた。ITベンダーが技術者を客先に常駐させてシステム保守運用を丸ごと受託するビジネスは、社会正義に背く、ある意味「犯罪的な」ビジネスであるという点だ。以下で、その理由を明確に示すことにしよう。