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 ようやく正式に終了となった。何かというと、東京オリンピック・パラリンピックの暑さ対策として突如浮上したサマータイム導入を巡るドタバタ劇だ。導入の是非を検討していた自民党の研究会が2018年10月31日に、関連法案の国会提出を見送ると決めた。理由は、サマータイムを導入するには広範な領域でシステム改修が必要となり、2年以内に実現するのはとてもじゃないが無理、ということらしい。当たり前である。

 それにしても、2年かけてもできない話なのに、当初は2019年に導入しようと言っていた。もうメチャクチャである。私はこの「極言暴論」で、サマータイム騒動を徹底的に批判したが、その記事中で「私としてはサマータイムの導入は無いと思っている。『酷暑の夏の怪』として出現したサマータイム騒動はやがて蜃気楼(しんきろう)のように消える」と書いた。蜃気楼にしてはしぶとかったが、予想通り消えた。

 断っておくが「ほら予想通りだっただろ」と自慢したいわけではない。システム対応を考えれば、1~2年しかない準備期間でサマータイム導入などどだい無理なことは誰でも分かることだ。私は「誰でも分かる」ことを書いただけなのだ。にもかかわらず、サマータイムの蜃気楼が完全に消えるまで3カ月以上もかかった。政治や官の世界、企業を問わずトップが「検討しろ」と命じると、どんな無理筋でも断念するまでに、それぐらいの時間がかかってしまうということだろう。

 実は「サマータイム騒動は消える」とは書いたものの、導入強行の可能性がゼロではない点を危惧していた。システム対応面でどんなに無理であっても、それだけでは強行を防ぎ切れない。それが日本の世の常だ。実際、新たな法制度や新政策に伴うシステムの導入や刷新において、あり得ない短納期でのシステム開発が常態化してきた。政争などに巻き込まれて法改正がベタ遅れになったにもかかわらず、改正法の施行日は変わらないためだ。

 今回のサマータイム導入断念では「システム改修が間に合わない」が理由として挙げられているため、ようやくシステム面での問題にも目が向くようになったと思いたいところだが、果たしてどうか。サマータイムの導入を巡ってはメディアの世論調査で「反対」が半数を超えていた。まだ法案も提出していないのだから、あえて押し通す道理はない。そんな判断も働いたはずだ。もし賛成多数ならITの事情は顧慮されたか。そうではない可能性があっただろう。