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 基幹系システムは一種の仕組みである――。この書き出しだと「何を当たり前のことを言っているんだ」と不審に思う読者もいるだろう。そう思った人はまともなビジネスパーソンだ。ただし、あなたの会社の基幹系システムがまともな仕組みかどうか、さらに言えばそもそも「仕組み」と言える代物なのかどうかは保証の限りではない。

 ここまで書けば、この「極言暴論」の熱心な読者なら、私が何を言いたいのかピンときたと思う。そうなのだ。基幹系などのシステムは、企業におけるビジネスの仕組みの一部をプログラム言語で記述している。もちろん業務のやり方、業務プロセスといったビジネスを回す仕組みだけでなく、業務上の不正などを排除する仕組みも組み込まれている。だから、従業員が自身の業務でシステムを使えば、企業のビジネス全体が円滑に遂行されるわけだ。

 当然のことながら、特にトラディショナルな企業の場合、その企業のビジネスの仕組みを全て基幹系などのシステムに組み込んでいるわけではない。システムが直接介在しない業務も多い。つまり基幹系システムは企業のビジネスの仕組み全体から見るとサブセットということになる。もちろん基幹系システムには、サブセットと言ってもビジネスの仕組みの「幹」となる部分が組み込まれている。だから「基幹系」と称するわけだ。

 そんなわけなので、基幹系システムがまともであるためには、企業のビジネスの仕組みがまともであることが前提だ。これも当たり前だが、ビジネスの仕組みがきちんと設計されて全体最適が図られていれば、基幹系システムにも反映されて、まともなものとなる。例えばERP(統合基幹業務システム)の導入に伴う業務改革なら、自社の仕組みの幹となる部分を、ERPに組み込まれている業務プロセスなどの仕組みに入れ替えることである。この「幹の入れ替え」をきちんとやらないと、ERP導入は失敗してしまう。

 さて、本題はここからだ。どんな企業にもそれぞれビジネスの仕組みがあるはずだが、はたして日本企業にはビジネスの仕組みが本当にあるのだろうか。前回の極言暴論に書いた通り、日本企業は「勝手にやっている現場の集合体」だ。そうすると、全社で最適化されて標準化されたビジネスの仕組みが存在するわけがない。勝手にやっている現場ごとのビジネスの仕組みも怪しい。現場ではビジネスの仕組みというよりも、属人化された業務のやり方でビジネスが回っているケースが多いからだ。

 もちろん、日本企業にビジネスの仕組みはないとするのは言い過ぎだ。日本企業の中でもエクセレントカンパニーとされる企業は、競争優位を生み出す強固な仕組みを持っているケースが多い。だが、その他大勢の企業にはまともな仕組みが存在しない。誰かが言っていたが「強い企業には仕組みがあるが、ダメ企業には仕組みがない」のだ。具体例は身近にある。我らがIT業界である。