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 もうビックリである。そして「これだけDX(デジタルトランスフォーメーション)の重要性が叫ばれているのに、DXに対する日本企業の経営者の姿勢や取り組みは、いまだにこの程度か」と暗たんたる気持ちになった。何の話かというと、あるDX調査の結果を見て、日本企業の経営者の変わらなさぶりに驚愕(きょうがく)してしまったのだ。これじゃ、「日本の失われた30年」は延長戦に突入必至である。

 ある調査とは「身内」の仕事で恐縮だが、日経BPの「DXサーベイ2023-2025」である。実は3年前の2019年にも一度、この「極言暴論」で取り上げたことがある。そのときは、DXの重要性を理解しているくせに現場に丸投げしているという意味不明の経営者が4割もいるとの現実に驚き、子供でも分かることができない面々として徹底的に批判させてもらった。後で詳しく説明するが、DXの重要性を自覚した経営者なら対応して当然の取り組みができている人は、わずか14%程度しかいなかったのだ。

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 それに対して今回のDXサーベイは、担当者によると「DXに本気で取り組む経営者が増えてきたのが見て取れる」とのこと。「本当か」と疑い、あまり期待値を上げないようにして読んでみた。すると、それでも期待値を上げ過ぎていたと、すぐに気がついた。確かに多少改善しているが、ひどいものである。例えば3年前の調査との比較で「DXプロジェクトに関する経営トップの姿勢」のデータを掲載しておこう。

「DXプロジェクト(DXを推進するためのプロジェクト)に関する経営トップの姿勢はどれですか」に対する回答結果
「DXプロジェクト(DXを推進するためのプロジェクト)に関する経営トップの姿勢はどれですか」に対する回答結果
出所:「DXサーベイ」(2019年、日経BP)と「DXサーベイ2023-2025」(2022年、同)を基に作成
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 いかがだろうか。本当にひどい。まず話の前提として、DXの重要性を理解していない経営者は、今回の調査によるとわずか2.5%しかいないから、日本企業のほぼ全ての経営者がDXに取り組むことの重要性・必要性を認識していると言える。以前、投資信託を運用するファンドマネジャーが「投資先企業とミーティングすると、全ての経営者が自社のDXについて熱く語るようになった」と話していたが、この調査でもDXの重要性は全経営者の共通認識であることが裏付けられたわけだ。

 にもかかわらず、DXを現場に丸投げしているという意味不明の経営者がいまだに3割超もいる。経営者のようなリーダーは「重要だ」「やらなければならない」と認識するのなら当然、自ら行動に移さなければならない。DXはデジタルを活用したビジネス構造の変革、つまり全社的変革なのだから、経営者は自らがDXを主導する必要がある。要するにDX戦略をリードしなければならないのだが、現時点でもそのような経営者が2割しかいないのだから嘆かわしい。