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 2020年最後の「極言暴論」をお届けする。それにしても、本当に厳しい1年であった。ただ、新型コロナウイルス禍が世の中のデジタル化を加速し、日本の企業や行政がDX(デジタルトランスフォーメーション)に本腰を入れるきっかけとなった。だから、新型コロナ禍が収束するであろう2021年はきっと希望の年となる――。そんなふうに極言暴論らしからぬ記事で2020年を締めくくろうと考えていたのだが、どうやらそれは無理な相談だったようだ。

 実は、これは誰に言っていなかったのだが、つまり編集長や編集部にも相談していなかったのだが、2020年末をもって8年近く書き続けてきた極言暴論を終わりにしたいと、長らく思っていた。この極言暴論では、ユーザー企業のIT活用のおかしさや人月商売のIT業界の理不尽などを徹底的に暴き斬り捨ててきた。だが、さすがに2020年代にもなれば、ユーザー企業もITベンダーも多少はまともになり、極言暴論の使命も終わる。そんなふうに考えていたからだ。

 それと全くの私事ではあるが、もう1つ理由があった。私は2021年2月に60歳になる。いわゆる定年なので、それを機に今の仕事やITの世界から足を洗い、趣味の自転車や野鳥撮影、郷土史研究などのアナログな世界にどっぷり漬かり、これからの「ジジイ見習い」の時期を楽しく過ごそう――。そんなふうにも夢想していた。

 だが両方とも、完全にあてが外れてしまった。諸般の事情から少なくとも65歳までは働かなくてはならなくなった。リタイアは「本物のジジイ」になるまでお預けだが、これは私事だからどうでもよいことだ。問題は、ユーザー企業のIT活用やIT業界の理不尽のほうだ。極言暴論を書き始めた2013年に比べれば、確かに多少ましになってきてはいるが、私が連載を終えられる水準になく、依然としてひどいものである。

 素人化して丸投げしかできなくなったIT部門、大企業でも進む「ひとり情シス化」、老朽化して「田舎の温泉宿」状態になった基幹系システム、契約に記してないことまでITベンダーに要求する客のモンスターぶり、ご用聞きしかできないSIer、多重下請け構造やブラック企業の暗躍など、挙げれば切りがないほどの問題が今でもくすぶっている。そして……ここからは顔を真っ赤にして書くが、2015年3月の記事で次のように予想した。

 「どうも私はIT業界の人たちから、オオカミ少年だと思われているらしい。随分前からSIビジネスの終焉(しゅうえん)を騒ぎ立てていたが、SIビジネスは幾多の不況期を乗り越え、しぶとく生き残ってきた。だから私がオオカミ少年だと言われるのは、まあ仕方が無い。だが、あえてまた言う。『今度は本当にオオカミがやって来る』。SIerの余命はあと5年である」――。2020年の現状を考えると、やはり私はオオカミ少年ならぬ「オオカミおやじ」である。