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 2020年がスタートした。この年末年始に9連休を取った読者も多いかと思う。長めの休みの間、何を考えただろうか。人月商売のIT業界やユーザー企業のIT部門でつまらない仕事をしている技術者なら、転職を考えた人も多いはずだ。この「極言暴論」では手を替え品を替えて技術者に「転職せよ」とあおり続けてきたが、まだ踏ん切りがつかない人がいる。なので、2020年最初の記事でも盛大にあおっておこう。

 とても喜ばしいことに、2019年には転職する技術者が本当に増えた。さらに素晴らしいことに、以前のような人月商売ベンダーから人月商売ベンダーへの転職ではなく、人月商売ベンダーからユーザー企業、あるいはユーザー企業からユーザー企業への転職という「流れ」がはっきりと出来上がった。特に大手SIerから若手技術者が片っ端から辞めていくようになったのは、人月商売が瓦解する前触れとして評価できるので喜ばしい限りだ。

 こうした転職の流れは3~4年前から見られるようになった。デジタルサービスなどを立ち上げるために、技術者の中途採用に乗り出すユーザー企業が増えつつあったからだ。しかし当時、それを指摘した記事を書くと、「ユーザー企業が中途採用を増やしているなんて聞いたことがないぞ。いいかげんな記事を書くな」などとTwitterで絡んでくる人もいた。おそらく人月商売の狭い「井の中」にいる哀れな技術者たちだったのだろう。

 それがある時、一気に変わった。何がターニングポイントだったかというと、例の衝撃的な広告、「シリコンバレーより、南武線エリアのエンジニアが欲しい」の登場だろう。JR南武線沿線にオフィスを構える大手ITベンダーの技術者に転職を呼びかけるトヨタ自動車のこの求人広告は、「ユーザー企業への転職の道があるんだ」とIT業界の多くの技術者に認識させた。実に素晴らしい。「トヨタさん、ありがとう」である。

 盛んに転職をあおり続けた私の記事も、多少なりにも技術者の転職を後押しする効果があったと思う。実際に「散々転職をあおられたおかげで、下請けのITベンダーを辞める気になり、ユーザー企業に転職できました」といったTwitterのコメントをもらうことが増えてきた。もうこれだけで、少なからぬ読者にディスられながら極言暴論を書き続けてきたかいがあったというものである。

 そんな訳なので、転職を考えながらいまだにぐずぐずしている技術者には「早く転職せんかい!」と言いたい。特にプログラムを書く力が十分あるにもかかわらず、下請けのITベンダーで言われるがままに「コーダー」に収まっている技術者は、本当に踏ん切りをつけたほうがよいぞ。「プロジェクトの途中で辞めると迷惑がかかる」などと自制してはいけない。あなたにとって無価値の仕事は放り出してよい。ユーザー企業があなたを待っているぞ。

 だが、そんな私の主張を根底から覆しそうな記事が現れた。「ITベンダーの技術者がユーザー企業へ転職すると不幸になるぞ」と主張する「テクノ大喜利、ITの陣」の記事だ。実はこのコラムは私が担当しており、毎回複数の識者にお題を投げかけ、それに応える形で記事を書いてもらっている。そして技術者の転職についてのお題を出した際、ある識者からそんな回答が返ってきたのだ。もう腰を抜かしそうな事態だった。