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煙突と壁との隙間が狭い

 消防本部が挙げる出火原因の1つは、煙突と周囲に張られた木材との間隔が狭い箇所で「伝導過熱」が発生した点にある。間隔が狭いと、煙突からの放射熱が木材に伝わりやすくなる。その状態が長く続いて、木材が炭化し、通常の発火温度よりも低い200~300℃で発火に至るというメカニズムだ。

 煙突による伝導過熱を防ぐために建築基準法施行令115条では、金属などでできた煙突と、木材といった可燃材料とを15cm以上離すよう求めている。ところが、金属製の煙突を使っていた事例1と事例4の火災では、煙突と木材の間隔が4~10cmしか離れていなかった。

 同施行令115条では、金属以外の不燃材料で作った厚さ10cm以上の煙突であれば、木材との距離を設けなくても済むと規定している。

 2階が広く焼けた事例3の煙突はコンクリート製で床と十分な距離を設けていなかった。しかし、厚さが10cmに満たなかったうえに、住宅の築年数が古かったので、煙突にひび割れが入って熱が伝わりやすくなっていた可能性がある〔図1〕。

〔図1〕煙突との隙間や煙突の仕様に火災の原因
〔図1〕煙突との隙間や煙突の仕様に火災の原因
煙突と壁との間隔や煙突の仕様、煙突回りの仕上げ材、煙突の接続箇所などに、出火を招いたとみられる要因が見つかった(資料:駿東伊豆消防本部への取材を基に日経 xTECHが作成)
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 事例1に関連して、消防本部は煙突が貫通する天井部に張られていた金属製の化粧板にも着目する。消防部予防課の植田豊一課長補佐は「金属板を天井材にじかに張っていたために、天井材に熱が伝わりやすくなっていた恐れがある」と話す。

 貫通部の煙突回りに金属製の化粧板を張っている建物は少なくない。日本暖炉ストーブ協会(JFSA)の池高明理事長はその安全性を次のように説明する。「金属の化粧板を天井材にじか留めしても、断熱2重煙突を壁から15cm以上離して設置すれば、化粧板や天井材に多くの熱が伝わらないことを実験で確かめている」