政府は2月9日、「都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案」を閣議決定した。改正の背景にあるのはスポンジ化と呼ばれる都市の密度の低下だ。国土交通省は都市のスポンジ化によって、利便性の低下、治安・景観の悪化、地域の魅力消失などの問題点を指摘している。改正によって、都市の安全性・利便性の向上を目指す。

都市再生特別措置法などの一部を改正する法律案の概要(資料:国土交通省)
都市再生特別措置法などの一部を改正する法律案の概要(資料:国土交通省)
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 同改正法案は大きく2つのテーマに分かれる。「都市のスポンジ化対策」「都市の有休空間の活用による安全性・利便性の向上」だ。都市のスポンジ化対策の1つとして、自治体が空き地・空き家に関する情報を集め、売買や転用を仲介する制度を新しく設ける。この制度下での取引において、取得税などを軽減するよう税制も改正し、低未利用地の集約による土地利用を促進する。低未利用地とは、空き地、空き家、工場跡地、管理を放棄された農地・森林、一時的に利用されている資材置場や青空駐車場などを指す。

新設制度による「低未利用土地権利設定等促進計画」のイメージ。自治体が複数の土地や建物に一括して利用権などを設定する計画を作成する(資料:国土交通省)
新設制度による「低未利用土地権利設定等促進計画」のイメージ。自治体が複数の土地や建物に一括して利用権などを設定する計画を作成する(資料:国土交通省)
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 このほか、自治体の働きかけを起点に低未利用地の活用を促す制度の新設が多い。空き家の現状など都市の実態把握、低未利用土地の利用権の交換などの計画作成、地域コミュニティーが主体となって公共空間を創出させる手法など、国交省の技術的支援が不可欠だ。