2027年には東京駅丸の内側から北東の空を見上げる観光客が増えるかもしれない。映画「シン・ゴジラ」で、怪獣退治に一役買った東京駅日本橋口前の超高層ビルの建設が本格的に始動した。事業者である三菱地所は2月20日、「東京駅前常盤橋プロジェクト(大手町二丁目常盤橋地区再開発事業)」A棟(高さ約212m、21年4月竣工)の起工式を実施した。
三菱地所は工事現場の南北を覆う仮囲いに、140mにわたって歴代ゴジラのポスターを展示するギャラリーを設置。同地区の再開発計画が27年までと長期におよぶことに対する配慮の1つだ。会見に登壇した同社の合場直人執行役専務は「ゴジラには常盤橋のシーンがある。(施工中も)周辺の街にもにぎわいを創出する企画を考えていきたい」と話す。
A棟を建設する敷地に立っていたJXビルと大和呉服橋ビルはすでに跡形もない。地上部の解体工事は終了しており、現場では一部の地下躯体を壊しつつ、地下工事を進めている。A棟の起工式は2月20日に行われたが、実際は1月16日に着工していた。プロジェクトの進捗に遅れはないという。完成したA棟は東京メトロ東西線の大手町駅コンコースと直結する。
常盤橋プロジェクトには3つの軸がある。「ビジネス・観光など多機能の集約」「シンボルタワーとして世界へ情報発信」「交流の促進と時間価値の最大化」だ。合場執行役専務は「常盤橋は大手町、神田、日本橋、八重洲の結節点となる。年間に1億人の来街者を目指し、東京に来たら必ず立ち寄る場所にする」と意気込みを語る。