1カ月前に点検して安全とされた石こうボードの天井が、人通りの多い地下鉄の通路に落下した。頭上の建築部材が落下する事例は、地震時に限った話ではない。天井落下事故に詳しい東京大学生産技術研究所の川口健一教授によると、天井落下は国内で2週間に1度ほどの頻度で発生しているという。部材が頭を直撃する可能性が高い天井落下は、事故発生時の一時的な対処に止まらず、抜本的な安全対策の見直しが必要だ。
地下鉄御堂筋線なんば駅と高島屋大阪店を接続する出入り口(なんば駅4号出入口)で、重さ約16kgの天井ボードが落下したのは2月25日。同日午後2時15分ごろに通行人が「高島屋に行く階段付近で天井が落ちている」となんば駅職員に伝えたことで発覚した。大阪市交通局によると、けが人の申告はなかった。日曜日に発生した事故だっただけに、けが人が出なかったのは不幸中の幸いだった。
落下した天井ボードは縦1m、横1.3m、厚さ1.2cmだった。天井高は2.4mで、落下のメカニズムは分かっていない。現在は落下の危険性がある天井部分を含めて養生が済んでおり、通行可能となっている。市交通局は2月26日から同様の天井ボードを使用している他の駅についても点検を実施している。