京都市は3月19日、宅配の再配達を削減するために実施した実証試験で、宅配ボックスを設置したアパートの再配達率が43%から15%に減ったと発表した。「京(みやこ)の再配達を減らそうプロジェクト」と呼ぶこの試験は、市とパナソニック、京都産業大学(以下、京産大)が共同で進めた。
京都市は、人口147万人の約1割の14万人を学生が占める。学生が集中する「大学のまち・学生のまち」だ。学生はインターネット通販を利用する機会が多い半面、授業やアルバイトなどで留守にしている時間も長い。繰り返し再配達される荷物は少なくない。
実証実験は、2017年11月から18年1月までの約3カ月間にわたって行われた。学生が多く住む京都市北区内の5カ所の単身者向けアパート(合計106戸)にパナソニック製のアパート用宅配ボックス「COMBO-Maison(コンボ-メゾン)」を計39台設置した。ボックスのサイズは幅39cm、高さ59cm、奥行き22.5cmだ。さらに、京産大の校内にも公共用の宅配ボックスを置いた。
実験期間中の各月7日間ずつ、計21日間にわたって、3カ所のアパート(計66戸)で出口調査を行ったところ、期間中に配達された117個の荷物のうち、直接受け取られた荷物が57%(66個)を占めた。一方、宅配ボックスで受け取られた荷物は28%(33個)となり、再配達となった荷物は15%(18個)だった。
宅配ボックスがない場合には再配達となったと考えれば、宅配ボックスの設置によって再配達を防げた荷物は、全体の荷物の約3割を占めることになる。
パナソニックは16年に、家庭の共働き率が高い福井県あわら市で一戸建て住宅を対象に同様の実証実験を行った。この実験では、再配達率は49%から8%までに減った。今回もその時と同じ再配達率8%を目指したものの、その数字は達成できなかった。