リニア中央新幹線の建設工事を巡る談合事件の余波が、2020年東京五輪の競技会場にまで及んでいる。独占禁止法違反の容疑で逮捕者を出した大成建設と鹿島に対して、既に複数の自治体が入札の指名停止などを公表。東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(以下、組織委員会)は、3月19日付で大成建設と鹿島への入札による新規発注を自粛することを決定、20日に両社に通知した。
自粛する発注は、組織委員会が主体となって進める大会対応用の「仮設オーバーレイ工事」。自粛期間は未定だ。組織委員会は4月にも入札手続きを始める。
新規発注の自粛を決めた理由について組織委員会広報部の加藤謙太郎報道担当課長は、「東京都など複数の自治体が両社を指名停止処分とするなど、社会的な影響の大きさを踏まえて判断した」と説明する。
ただ、既存工事と仮設オーバーレイ工事が複雑に関係するなど大会準備に間に合わない恐れがある施設では、例外的な措置を取る可能性を残した。組織委員会は、「有識者の技術的意見も踏まえたうえで、随意契約を採用する可能性は排除しない」との考えも示した。
組織委員会からの発注自粛の通知を受けて、大成建設の広報室は「個別の営業活動に関するコメントは差し控える」と回答。鹿島の広報室は「複数の自治体からも指名停止措置を受けている現状を、厳粛に受け止める」とコメントした。