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 勧誘目的を告げずに訪問し、住宅リフォーム工事の契約を取り付けた――。この理由を基に神奈川県は2018年3月、リフォーム会社「スカイライズ」(神奈川県海老名市)に対し、訪問販売に関する業務の一部を6カ月停止するよう命令した。特定商取引法に基づく措置だ。同社は、従業員数50人の中堅リフォーム会社。15年度以降、同社に関する苦情が神奈川県に60件寄せられていた。東京都でも同社に関する同様の相談が40件寄せられており、東京都も業務の一部を6カ月停止する処分を下した。

リフォーム会社のスカイライズへの処分を公表した神奈川県のウェブサイト(資料:神奈川県)
リフォーム会社のスカイライズへの処分を公表した神奈川県のウェブサイト(資料:神奈川県)
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 違法と認定された理由は「勧誘目的の不明示」と「不実告知」の2つだ。前者は消費者宅を突然訪問して、事業者の名称や住宅リフォームの販売の勧誘が目的だと告げなかったこと。後者は契約を必要とする事情に関して事実と異なる内容を告げたことが該当する。

 神奈川県消費生活課によると、同社は横浜市内や横須賀市内などの住宅を回り、偶然に屋根の不具合を発見したように装って消費者宅を訪問していた。そして、「板金が浮き上がっている」「瓦がずれている」と事実と異なる状況を告げて屋根に上り、「このままだと雨漏りする」などと消費者の不安をあおってリフォーム工事をしていた。

「勝手に屋根に上っていた」

 実際に被害を受けたA氏のケースでは、同社従業員が無断でA氏宅の屋根に上っている所を発見。A氏が、下から見上げていた別の従業員に「何をしているのか」と抗議したところ、「屋根が傷んで雨漏りしている。放置すると大変なことになる」と言われた。下に居た従業員はその場で契約書を作成。A氏に契約の締結を迫った。工事金額や工事内容も分からないまま「大変なことになったらどうしよう」と不安にかられ、A氏は言われるまま契約書にサインした。