星野リゾートは4月11日、東京国際フォーラム(東京都千代田区)にて行われた定例発表会で、新ホテルブランド「星野リゾート OMO(オモ)」(以下、OMO)の詳細を明らかにした。OMOは利用客を観光客に絞ることで、サービスを差別化する。ホテルと街が一体となり、街の魅力を観光客に体感してもらう仕組みを提供する。
2018年4月28日に「OMO7旭川」(北海道旭川市、旧旭川グランドホテル)がリニューアルオープンし、18年5月9日に「OMO5東京大塚」(東京都豊島区)がオープンする。OMO7旭川は237室、OMO5東京大塚では125室の客室を備える。OMO7旭川は2人1室利用時、1人5000円から、OMO5東京大塚は2人1室利用時、1人7000円から宿泊が可能だ。
OMOは、ホテルを中心とした街全体を1つのリゾートと捉え、街の魅力に寄り添う新たな都市観光ホテルを突き詰める。「寝るだけでは終わらせない、旅のテンションを上げる都市観光ホテル」をコンセプトとする。
星野リゾートの星野佳路代表は、「OMOではターゲットからビジネス客を切り離し、観光客だけに向けて思い切った部屋や施設を提供し、観光客のためのホテルを模索していく」と語った。この背景として、一般的なビジネスホテルに対し、「ビジネス客を中心としながらも、観光客に向けたサービスも提供しなければならないので、中途半端なサービスしか提供できていないのではないか」との考えを示した。
ターゲットを観光客に絞る利点について星野代表は、立地の選定が大きく変わることを挙げた。「今までは駅前を良い立地としていたが、駅から少し離れていて、より地域らしさを持った場所が良い立地となる」とし、観光視点でのロケーション選定を進めていく。
さらに同社は、大阪市の新今宮駅前でもOMOを22年に開業する予定だ。「22年までにOMOの新たなプロジェクトをいくつか報告できるようにしたい。声を掛けてもらえれば、全国どこでも行こうと思っている」と星野代表は語る。
また、宴会やブライダル、宿泊の事業を行っている地方のグランドホテルは、新規事業者の参入により、収益を上げにくくなっていることも指摘する。「この3つの事業の収益を再び上げる手段としてOMOのコンセプトが機能するのであれば、必ず新しい都市で新しい案件に出会える。そのためには今年、旭川と大塚で実績を上げることが必要だ」と話した。