タマホームが標準仕様にしている耐震等級3の木造住宅は、熊本地震と同等の揺れが3回直撃してもクロスの部分的な破れにとどまる。一方、建築基準法が要求する耐震基準ぎりぎりの住宅は、倒壊相当の損傷を受ける。
これは、タマホームが2017年10月に防災科学技術研究所兵庫耐震工学研究センター(E-ディフェンス)で行った実大実験の結果だ。18年4月に発表した。同じ間取りで耐震性能の異なる2棟を振動台に載せ、熊本地震で観測された前震1回と本震2回の地震波を入力して揺らした。実大2棟を3次元で同時に加振できる実験施設は、Eディフェンスだけだ。
試験体Aとして採用した同社の標準仕様は、大臣認定を取得した外壁回りに張る耐力面材と、筋交いの間仕切り壁などで、建基法が要求する壁量の1.5倍を確保した。さらに、クロスの下地に張る石こうボードを、品質確保促進法が準耐力壁として認める方法でくぎ打ちしている。
実験を監修した京都大学の五十田博教授によると、大臣認定以上の耐力を備える耐力面材の余力と石こうボードの壁倍率を加えた壁量充足率は、3.5に達する。
一方の試験体Bは、筋交いだけで建基法ぎりぎりの壁量を確保し、石こうボードを試験体Aと同じ仕様で施工した。石こうボード分を加えて計算した壁量充足率は2.0だ。