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被害を小破に抑える

 今回の調査で、もう1つ注目に値するのは、地震被害が小さい住宅でも残存していない割合が低くないことだ。日本建築学会の基準で被害が「軽微」だった住宅の29%、「小破」だった住宅の54%が残存していない。軽微と小破は、被害認定で一部損壊に該当する水準だ。

 
地震発生から2年後の状況を地震による被害レベル別に集計した結果。軽微だった住宅の29%、小破だった住宅の54%が残存していなかった(資料:五十田 博教授の資料を基に日経 xTECHが作成)
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 被害が大きかった住宅は、残存していない割合が当然高い。被害認定で半壊に該当する「中破」とされた住宅は82%、全壊に該当する「大破」の住宅では93%に達する。 

 五十田教授は「被害レベルが小破程度に抑えられていないと、地震後に継続使用されにくいと分かった」と言う。そしてこう続ける。「建築基準法相当の耐震性能で倒壊を免れても、取り壊しを避けるのは困難だということが、改めて確認できた」

 建築年別に残存していない割合を見ると、1981年6月より前(旧耐震基準)の住宅が76%、同年6月以降(新耐震基準)の住宅が45%、2000年以降の住宅が18%だった。

地震発生から2年後の状況を建築年代別に集計した結果。残存しない割合は古い建物ほど大きい。旧耐震の住宅は76%、新耐震基準の住宅は45%、2000年以降の住宅は18%だ(資料:五十田 博教授の資料を基に日経 xTECHが作成)
地震発生から2年後の状況を建築年代別に集計した結果。残存しない割合は古い建物ほど大きい。旧耐震の住宅は76%、新耐震基準の住宅は45%、2000年以降の住宅は18%だ(資料:五十田 博教授の資料を基に日経 xTECHが作成)
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 旧耐震基準の住宅の割合が高いのは、自治体が無償で解体を引き受けたため、老朽化を理由に解体したものが含まれているからだと思われる。