京都大学生存圏研究所の中川貴文准教授は、自身の開発した木造住宅の耐震性能評価用フリーソフト「ウォールスタット(wallstat)」を使って、大阪府北部地震で観測されたK-NET高槻の地震動と住宅の耐震性能の関係を解析した。
その結果、壁量を建築基準法の1.3倍にしたモデルの揺れが最も大きくなることを明らかにした。
大阪府北部地震で木造住宅の深刻な被害が比較的少なかった理由として、地震動が極短周期型だったことが指摘されている。防災科学技術研究所が今回観測したなかで最も揺れの大きかったK-NET高槻の加速度を見ると、0.2~0.4秒の周期が卓越している。耐震性能の低い木造住宅の固有周期は1~2秒なのに対し、K-NET高槻は1~2秒の成分が小さかったので、被害が抑えられたということだ。
中川准教授は同じL字形プランの総2階建てで、壁量の異なる16種類のモデルにK-NET高槻の地震動を入力。耐震性能がどの程度の住宅だと大阪府北部地震で被害が大きくなるのかを調べた。
いずれのモデルも倒壊はしなかったが、変形量には多少の差が表れた。1階の変形量が最も大きかったのは、壁量が1.3倍のモデルの40.8mmだ。変形量が最も小さかったのは、壁量が一番小さい0.5倍のモデルの33.1mm。壁量が一番大きい2.0倍のモデルの変形量は38.8mmで、同1.3倍のモデルの変形量を下回った。