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BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)の活用の幅が、広がりを見せている。BIMによるビッグデータを活用し、建設、不動産、金融にまたがる総合的なサービスを構築しようと、各種ソリューション開発を同時多発的に推進するのが、スターツグループだ。日経アーキテクチュア2018年9月27日号特集「選ばれる住宅、10の革新」内で紹介したスターツグループのデータ活用について、さらに深堀りする。

 「設計担当者は与条件整理などに、月約100時間を割いていた」。そう明かすのは、賃貸住宅事業などを手掛けるスターツコーポレーション新規事業推進室の光田祐介氏だ。

 スターツグループでは、こうした設計者の負担を軽減するため、AI建築事業計画サービス「LAPLACE(ラプラス)」を開発。2018年5月からグループ内で使用を開始している。

土地情報の入手からプレゼンまでのフロー概念図。従来は、土地情報の入手から事業計画書作成まで1週間以上を要した。ラプラスを使えば、途中の情報収集や条件整理などを自動で実施するため、約15分で事業計画書が作成できる(資料:スターツコーポレーションの資料を基に日経アーキテクチュアが編集)
土地情報の入手からプレゼンまでのフロー概念図。従来は、土地情報の入手から事業計画書作成まで1週間以上を要した。ラプラスを使えば、途中の情報収集や条件整理などを自動で実施するため、約15分で事業計画書が作成できる(資料:スターツコーポレーションの資料を基に日経アーキテクチュアが編集)
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 ラプラスは、AI技術を活用して賃貸住宅の建築計画と事業計画を自動作成するシステムだ。従来、土地情報の入手から顧客に提出する事業計画書作成までに1週間以上かかっていた設計プロセスを自動化。土地情報の入手後、プレゼンまでの一連の作業を約15分でできるようにした。

ラプラスが導き出すプランのイメージ。法規内で建築可能な範囲を示す「鳥かご」が自動で作成される(左)。敷地境界などの条件を選択すると、容積消化率や住戸数といった要件別の上位3案を提示。事業計画も自動で作成する(資料:スターツコーポレーションの資料を基に日経アーキテクチュアが編集)
ラプラスが導き出すプランのイメージ。法規内で建築可能な範囲を示す「鳥かご」が自動で作成される(左)。敷地境界などの条件を選択すると、容積消化率や住戸数といった要件別の上位3案を提示。事業計画も自動で作成する(資料:スターツコーポレーションの資料を基に日経アーキテクチュアが編集)
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 ラプラスの操作はウェブブラウザ上で完結できる。例えば、宅地建物取引主任者の資格を持っていれば簡単に操作可能で、現状は営業担当者が使いこなしている。出先での打ち合わせの際など、タブレットやノートパソコンなどの端末で、顧客に画面を見せながらプランの提案ができる。「設計担当者は意匠面やライフスタイルの提案など、よりクリエーティブな仕事に従事できるようになった」と光田氏。

 同グループ傘下で建設・土地活用コンサルティングを手掛けるスターツCAMの営業本部営業推進室の赤坂武宣室長は「土地所有者の目の前で、リアルタイムに提案できるようになったことで、より気軽に話を聞いてもらえるようになった。従来、収益計画の作成などは担当者の経験に頼る面があったが、ラプラスを使えば裏付けのある数値を提示できる。受注増につなげたい」と話す。実際に、事業計画書の作成件数は、約1.5倍に増えたという。