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 積水ハウスが東京都品川区西五反田にある旅館跡地の土地取引を巡って約55億円をだまし取られた事件で、警視庁捜査2課は、2018年10月20日までに土地所有者の女性になりすました羽毛田正美容疑者(63)ら地面師グループのメンバー9人を偽造有印私文書行使などの疑いで逮捕した。事件の経緯をたどると、何度も引き返すチャンスがあったのに、契約にまい進した同社の焦りが浮き彫りになってくる。

 事件の舞台になったのは、JR五反田駅から徒歩5分の場所にある敷地面積約2000m2の旅館跡地。周囲にはマンションやビルが建ち並ぶ一等地で、不動産関係者の間では「喉から手が出るほど欲しいが、地主が手放さない土地」として有名だった。

舞台となった西五反田の旅館跡地。近郊の不動産会社にとっては、都心の一等地として垂涎の的だった(写真:日経ホームビルダー)
舞台となった西五反田の旅館跡地。近郊の不動産会社にとっては、都心の一等地として垂涎の的だった(写真:日経ホームビルダー)
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 積水ハウスはマンション建設用地として、17年4月、所有者を名乗る女から土地を買い取る契約を結び、留保金を含めて計63億円を支払った。ところが、同年6月に同社が所有権移転の登記を行おうとしたところ、所有者側の提出書類が偽造と判明。法務局への申請が却下され、被害が発覚した。所有者を名乗る女とも連絡が取れなくなった。同社の実質被害は約55億5千万円だった。

 地面師グループは羽毛田容疑者の顔写真を張り付けた地主名義の偽造パスポートを所持。さらには、その偽造パスポートを使って「印鑑登録証明書を紛失した」と品川区役所で改印を申請し、印鑑登録証明書も取得するなどして同社を信用させていた。