2020年にアラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開催予定の「ドバイ国際博覧会」への日本館出展の準備が進んでいる。18年11月5日に開催した2020年ドバイ国際博覧会日本館基本計画検討会(座長:彦坂裕・スペースインキュベータ代表)で、日本館の建築デザインが明らかになった。外観に立体格子を用いて、中東と日本のつながりを象徴する幾何学文様を表現する。18年7月に公募で選定された永山祐子建築設計(東京都杉並区)が、NTTファシリティーズとの協働によって設計を担当する。
ドバイ国際博覧会は、20年10月20日から21年4月10日の期間に開催される。438ヘクタールに及ぶ会場内に、公式参加国182カ国を含めて、計247の出展者が参加する見込み。万博のテーマは「Connecting Minds, Creating the Future(心をつなぎ、未来をつくる)」。
日本館は、延べ面積約5500m2を予定している。建物は地上4階建てで、約2000m2の展示スペースに加え、日本食レストランやVIPルームなどを整備する。
日本館のコンセプトは(1)シルクロードで「つながり=交差」していた「中東と日本の文化・歴史」を象徴する幾何学文様、(2)古くから日本の美意識のなかで大切にしてきた「光と影」、(3)日本らしい「水と風」を現代的に表現――の3点だ。
経済産業省博覧会推進室の東哲也・博覧会国際企画調整官は「中東と日本のつながりのなかで、新しい価値が生まれていくことを表現したいと考えていた」と話す。イスラム美術の一様式であるアラベスクにも通じる日本の伝統文様「麻の葉文様」を表現するため、外観は立体格子をつなぎ合わせたデザインとする。
日本館では、建築そのものを日本ならではの技術のショーケースとすることも1つの狙いだ。中東地域で、省エネや暑さ対策などの建築技術を実証実験する場となるように工夫する。建物のエントランス部分は半屋外空間とし、日差しをよけながら風を通すために立体格子とテント膜で覆う。正面には三角形の水盤を2つ張り、水の気化熱を利用する。建築全体が自然エネルギーを活用したラジエーターのような環境装置とする計画だ。
経産省は、19年1月~3月に施工者を決める手続きに入る予定で、完成は万博開幕直前となる見込みだ。工事費は未定。東氏は「過去に出展した日本館の経験を踏まえて、建物や展示、運営を融合した機能的な空間構成を目指す」と話す。