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 「今後は、市の公共施設でブロック塀を設置しない」。2018年11月5日、大阪府高槻市の濱田剛史市長は記者会見でそう表明した。発端は、18年6月18日に発生した大阪北部地震で、高槻市立寿栄(じゅえい)小学校のブロック塀が倒壊して小学4年生の女児が亡くなった事故だ。市の「学校ブロック塀地震事故調査委員会」が10月29日に最終報告書をまとめ、市長に答申。11月5日に、市が今後の対応を示した。

大阪北部地震で倒壊した高槻市立寿栄(じゅえい)小学校のブロック塀。警察官などが現場検証している様子。地震直後の2018年6月19日に撮影したもの。現在も業務上過失致死の疑いで大阪府警の捜査が続く(写真:日経アーキテクチュア)
大阪北部地震で倒壊した高槻市立寿栄(じゅえい)小学校のブロック塀。警察官などが現場検証している様子。地震直後の2018年6月19日に撮影したもの。現在も業務上過失致死の疑いで大阪府警の捜査が続く(写真:日経アーキテクチュア)
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2018年10月29日に撮影した事故現場の現況。擁壁部が囲いで覆われていた(写真:日経アーキテクチュア)
2018年10月29日に撮影した事故現場の現況。擁壁部が囲いで覆われていた(写真:日経アーキテクチュア)
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 塀は1974年のプール建設と同時に、高さ約1.9mの擁壁上に設置された。全長約40m。ブロックを8段、約1.6mの高さに積み上げていた。道路側から測ると全体の高さは約3.5mと、建築基準法施行令62条の8で定める高さ2.2mを超え、補強の控え壁もなかった。

ブロック塀は小学校敷地の北側道路に面しており、校外からの視線を遮る目的などから設置された。完成から44年近くたっていた(資料:高槻市学校ブロック塀地震事故調査委員会の調査報告書を基に日経アーキテクチュアが作成)
ブロック塀は小学校敷地の北側道路に面しており、校外からの視線を遮る目的などから設置された。完成から44年近くたっていた(資料:高槻市学校ブロック塀地震事故調査委員会の調査報告書を基に日経アーキテクチュアが作成)
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ブロック塀と擁壁をつないでいた接合筋を、ブロック空洞内で縦筋と重ね継ぎ手で継いでいた。建築基準法施行令は「縦筋をブロックの空洞部内で継いではならない」としており、施工時点で問題があったことが分かる。溶接すれば継ぐことも許されているが、寿栄小の塀は溶接もしていなかった(資料:高槻市学校ブロック塀地震事故調査委員会の調査報告書を基に日経アーキテクチュアが作成)
ブロック塀と擁壁をつないでいた接合筋を、ブロック空洞内で縦筋と重ね継ぎ手で継いでいた。建築基準法施行令は「縦筋をブロックの空洞部内で継いではならない」としており、施工時点で問題があったことが分かる。溶接すれば継ぐことも許されているが、寿栄小の塀は溶接もしていなかった(資料:高槻市学校ブロック塀地震事故調査委員会の調査報告書を基に日経アーキテクチュアが作成)
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プール竣工当時の写真によって、プールと同時にブロック塀が設置されていたことが判明した。写真は、国庫補助金申請関係書類から発見された(資料:高槻市学校ブロック塀地震事故調査委員会の調査報告書)
プール竣工当時の写真によって、プールと同時にブロック塀が設置されていたことが判明した。写真は、国庫補助金申請関係書類から発見された(資料:高槻市学校ブロック塀地震事故調査委員会の調査報告書)
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 地震を受けて擁壁と塀の接合部分が折れ、塀は東側の端部を除く全てが、板状のまま道路側に倒壊。東側の端部はプール側に倒れた。

 調査委員会によれば長さ1m、高さ1mのブロック塀の重量は、鉄筋やモルタルも含めて約250kgに達する。それから試算すると、倒壊した塀は約16トンに及んだとみられる。