住宅の1次取得者で、「ミレニアル世代」に代表される若い世代の存在感が増してきた。デジタルネーティブで、物を「所有」するより「利用」する体験に重きを置くなど、上の世代にはない新しい価値観を持つといわれる世代だ。一方で、建設現場の職人不足は深刻化し、注文住宅も生産性向上を迫られている。今知っておくべきミレニアル世代の家づくりの動向を紹介する。
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ミレニアル世代は、既に住宅を購入する年齢や立場に達しており、無視できない「クライアント」だ。国土交通省の調査によると、この世代が「1次取得者」の約半数を占める。

ミレニアル世代の特徴的な価値観の1つが、カスタマイズ好きであることだ。住宅メーカーの中でも、明確にミレニアル世代向けを打ち出しているのが、三井ホーム。18年3月に発売した「ナチュラルヒュッゲスタイル」で、従来よりもカスタマイズ性を高めた「セミオーダー」を訴求する。
例えば外装だ。シンプルな形状をベースに、開口部の位置をはじめ、サイディングの張り付け範囲などが選択でき、様々なバリエーションにカスタマイズできる。入居後にユーザーがDIYできるよう、無塗装の壁も選べるようにした。
自分らしさを重視する一方で、所有欲が薄いのも特徴だ。ミレニアル世代向けの交流型賃貸マンション「ソーシャルアパートメント」を展開するのが、グローバルエージェンツ(東京都渋谷区)だ。単なるシェア志向ではなく、一歩踏み込んで世代を分析し、プランニングなどに反映している。
同社の廣田章剛マネージャーは、この世代の価値観について、「合理性、多様性、自由の3つの要素を捉えることが重要だ」と話す。