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 「では開始します」。担当者の掛け声とともに、大型パネルを使った木造戸建て住宅の施工実験が始まった。パネルを次々とクレーンで吊り上げ、組み立てていく。まるで、住宅の実物大プラモデルが出来上がっていくのを見ているかのようだ。わずか1時間で1階部分が完成。さらに1時間で2階部分、もう1時間で屋根まで施工が終わった。

ウッドステーションが主催した、木造大型パネルの施工実験。早稲田大学の西早稲田キャンパス内に、2階建ての木造戸建て住宅を建築した。写真の状態に至るまでに、2時間もかかっていない(写真:日経ホームビルダー)
ウッドステーションが主催した、木造大型パネルの施工実験。早稲田大学の西早稲田キャンパス内に、2階建ての木造戸建て住宅を建築した。写真の状態に至るまでに、2時間もかかっていない(写真:日経ホームビルダー)
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 ウッドステーション(千葉市)が2018年12月15日に公開した施工実験だ。早稲田大学の西早稲田キャンパス内にある広場で行われた。強く冷たい風が吹き荒れる中、住宅事業の関係者が多数集まり、施工の様子を興味津々と眺めていた。

 現場にはクレーンのうなる音のほか、時折木づちや工具の音が響いていた。だが、木造住宅の建築現場では一般的な、エアー式くぎ打ち機の音などは聞こえない。インパクトドライバーの音もあまり耳にせず、建設現場独特の騒々しさはなかった。施工の様子を見学していた住宅事業関係者の人山からは、「建てるのが早いな」と驚きに近いつぶやきが聞こえてきた。

木造大型パネルを使った戸建て住宅の施工実験に、多くの人が見入っていた。実験は、公開方式でウッドステーションが行った(写真:日経ホームビルダー)
木造大型パネルを使った戸建て住宅の施工実験に、多くの人が見入っていた。実験は、公開方式でウッドステーションが行った(写真:日経ホームビルダー)
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 ウッドステーションは住宅会社向けに木造大型パネル工法を提案して、パネルの製造を請け負う企業だ。パネルは木造軸組み工法をベースとしたもので、接合部はピンで留める金物工法を採用している。従来のパネル工法とは異なり、住宅会社が設計した軸組み工法の建物を対象にする。工場でパネルを組み立てて現場に搬入する。

 工場では面材耐力壁や断熱材、サッシ、透湿防水シートなどをパネルに取り付ける工程まで担当する。そのため、現場での大工の負担が軽減できるほか、施工品質を確保できるのが特徴だ。

 実験に用いた住宅は、伊礼設計室の伊礼智氏が設計した。建築面積は52.88m2で、延べ面積は105.76m2の2階建て。実験後は、分解した後に千葉県旭市に移築する予定で、実際の居住を前提としている。

屋根までの施工が終わり、実験が一段落した様子。既に面材耐力壁が施工された状態で、特注で設計したサッシ以外はほとんど取り付けられている。透湿防水シートも一部施工済みだ(写真:日経ホームビルダー)
屋根までの施工が終わり、実験が一段落した様子。既に面材耐力壁が施工された状態で、特注で設計したサッシ以外はほとんど取り付けられている。透湿防水シートも一部施工済みだ(写真:日経ホームビルダー)
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