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 鹿島は、場所打ち杭(くい)の余盛り部分を微少な発破で取り除く「カット&クラッシュ工法」を開発、施工中のプロジェクトに初めて適用した。従来のブレーカーを用いた除去作業と比べて騒音の発生が大幅に抑えられる。作業工程も2割以上減らせたという。

 新工法は発破を2段階で行う。余盛りとは場所打ち杭の新設時に余分に打ち上げる杭頭部分。余盛り部分に防爆シートをかぶせ、0.05秒間隔で2回発破する。1回目で水平方向にひびを入れ、余盛り部分を存置部分から切断。2回目で余盛り部分を内部から破砕するという手順だ(写真1、図1)

写真1 杭には影響及ぼさず
写真1 杭には影響及ぼさず
カット&クラッシュ工法で杭頭処理を施した試験体。性能評定により存置部分のコンクリートや鉄筋に影響がないことを確認した(写真:鹿島)
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図1 2段階で発破
図1 2段階で発破
カット&クラッシュ工法の概要。余盛り部分を水平方向に切り離し、その後、破砕する(資料:鹿島)
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 準備ではまず余盛り部分の切断のため、杭の側面から中心を目がけ、水平方向に複数の穴を開ける。さらに破砕のため、上側から鉛直方向に複数の穴を開ける。余盛り部分では、コンクリート打設の前に、鉄筋かごへらせん状の管を仕込んでおく。余盛り部分は外周を拘束して爆圧を閉じ込める。

 水平方向の穴には「非火薬系破砕剤」を、鉛直方向の穴とらせん状の管の両方には火薬をそれぞれ充填する。杭頭に防爆シートをかぶせたうえで発破。コンクリートガラを除去すれば杭頭処理が完了する。防爆シートをかぶせるため、粉じんなども抑えられる。

 非火薬系破砕剤とは、法規制がある「火薬類」に当たらず、急激な酸化還元反応によって膨張圧が得られる薬剤だ。爆発の衝撃波が生じないので存置部分が損傷しにくいというメリットがある。

 実際の作業では、穴を開ける作業で一定の騒音が生じるものの、ブレーカーを使った破砕作業よりは音が小さい。「発破の際、一瞬だけブレーカーを上回る音が出たものの、総合的にみると騒音が大幅に低減できた」と鹿島の広報担当者は説明する(図2)

図2 従来工法より騒音レベルを低減できる
図2 従来工法より騒音レベルを低減できる
ブレーカーで破砕する従来の工法との比較。カット&クラッシュ工法では発破の際に一瞬だけ大きい音が出るものの、作業全体では従来の工法より騒音レベルを大幅に低減できた(資料:鹿島)
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 杭の存置部分へ与える影響については、日本建築総合試験所により、従来の杭頭処理と変わらないとする性能評定を取得した。試験体を実際に発破して、存置部分のコンクリート圧縮強度、クラック発生度合い、取り出した主筋の引っ張り強度や付着強度などを確認した。

 新工法は、2011年に同社が解体向けとして開発した「マイクロブラスティング(MB)工法」を新設向けに応用したものだ。MB工法は既存杭を微少発破で破砕して取り除く技術で、同社と産業技術総合試験所、カヤク・ジャパン(東京・墨田)の3者が共同で開発した。16年に日本建築学会賞(技術)を受賞している。

 カット&クラッシュ工法について、鹿島は今後、幅広いプロジェクトに適用し、実績を重ねたいとしている。