カタール東部のアル・ワクラで、故ザハ・ハディド氏の設計によるサッカースタジアム「アル・ジャノブ・スタジアム」がオープンした。2022年にカタールで開かれるサッカーワールドカップ(W杯)のグループリーグや準々決勝で使うために建設され、そのこけら落としとして19年5月16日にアミール・カップの決勝戦が行われた。
特徴的なデザインは、中東の伝統的な帆船であるダウ船をモチーフにした。カタールは夏に40度前後まで気温が上がり、厳しい暑さとなる。そうした時期でも使えるように、開閉式屋根と空調を備えた。
アル・ワクラは首都ドーハから20kmほど南下した場所にある街だ。20年までに開通予定の鉄道ドーハ・メトロが通る計画で、それが完成すれば首都へのアクセスも向上する。スタジアムは、拡大する街の中で期待の施設といえる。
発注者は、W杯の組織委員会(Supreme Committee for Delivery & Legacy of the 2022 FIFA World Cup Qatar)だ。設計はザハ・ハディド・アーキテクツ、リードコンサルタントはAecomが担当し、開閉式屋根のデザインは、ドイツに本社を構えるシュライヒ・バーグマン・パートナーが手掛けた。
スタジアムはメインのコンコースから入ると、客席のうち真ん中ほどの高さに出る。ゾーンごとに異なるアクティビティーを想定しており、東側は観客が出入りするエリアとなっている。北東はコミュニティーの市場、南東にはアクティビティー・パークを配置。西側の放射状に広がる区域は、選手や関係者たちの車寄せとする。
さらにW杯組織委員会の公式ホームページによると、周辺には様々な用途の施設を、スタジアムと一緒に開発する予定だという。例えば、学校や結婚式場の他、サイクリングや乗馬、ランニングのトラック、レストラン、市場、ジムなどだ。集合住宅の建設も進め、地域のコミュニティー醸成を図る。