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 建築士事務所に保存を義務付ける設計図書の対象範囲が拡大する。国土交通省は、建築士法施行規則を改正し、木造戸建て住宅など、いわゆる4号建築物について、壁量計算書など構造図面の保存を義務付ける方針を固めた。保存期間は図書を作成した日から15年間。2019年7月17日に公表した改正建築士法関連の省令・告示の概要案で明らかにした。意見募集を経た後、19年9月上旬に公布する予定。準備期間を設定した上で施行する。

国土交通省が2019年7月17日に公表した改正建築士法の施行に向けた関係省令・告示の見直し案では、建築士事務所の保存義務対象図書の拡大が盛り込まれた(資料:国土交通省)
国土交通省が2019年7月17日に公表した改正建築士法の施行に向けた関係省令・告示の見直し案では、建築士事務所の保存義務対象図書の拡大が盛り込まれた(資料:国土交通省)
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 改正案では、建築士事務所の業務として設計や工事監理を行うことで作成された建築物に関する設計図書や工事監理報告書は、すべての建築物について保存しなければならないように見直す方針を打ち出した。木造戸建て住宅など、建築基準法20条1項4号に掲げる建築物の設計である場合、構造計算書に代わり、壁量計算書など構造基準への適合を確認できる図書を保存義務の対象として追加する。

 現行の建築士法では、建築士事務所に対し、その業務に関する一定の図面、構造計算書などについて15年間の保存義務を課している。だが、小規模な木造建築物の設計では、構造詳細図などについて保存義務の対象外となっていた。

「消費者保護が目的」と国交省

 壁量計算を行っていないなどの不適切な設計を行い、構造強度不足が明らかになるトラブルは後を絶たない。木造戸建て住宅などの建築確認で構造関係の審査を省略される「4号特例」では建築士に構造基準への適合性確保責任が委ねられているが、構造図書の保存義務がないため、建築士が構造基準への適合性を証明することが困難である、建築士が適切に責任を果たしていることを行政などがチェックする上で障害になっているといった指摘があった。そこで、中央建築士審査会の了承を得て、規制強化することにした。

 4号建築物を巡っては、05年11月の構造計算書偽造事件の発覚を機に建築確認手続きを厳格化した際、国交省が4号特例の見直しに言及。その後の着工戸数の急減を踏まえ、「当分の間継続する」と方針転換した経緯がある。国交省建築指導課の担当者は、4号建築物の構造図書の保存義務化について「消費者保護の一環として、見直すことにした」と説明している。

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