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マンションが都心部の機能を分断

 神戸市は1995年の阪神大震災から都市の復興に注力してきた。市が組織する「タワーマンションのあり方に関する研究会」に参加するLIFULL HOME'S総研の島原万丈所長は、「震災後に魅力的な街づくりには十分な力を割けなかった。インバウンドにおいても大阪市などに後れを取っている」と指摘する。こうした問題意識から市は都心部の住宅建設を抑制する一方、商業や観光などの機能を集約して街の魅力を取り戻す考えだ。

 19年6月13日の市長会見では報道陣から、「タワーマンション規制は市の人口減少に逆行していないか」との質問が出た。これに対して久元市長は、「タワーマンションを林立させて人口増を図るのは神戸として取るべき選択ではない。鉄道網などをうまく活用しながら、人間スケールのバランスのよい都市づくりをする必要がある」と回答している。

 市がJR三ノ宮駅周辺などに商業や業務機能を集積する方針を固めたのは15年9月に策定した「神戸の都心の未来の姿(将来ビジョン)」。議論の過程でタワーマンションに関する規制案が浮上してきた。市土地利用係の青木係長は、「人口は都心部に集まりやすいが、安易にタワーマンションを増やすと商業施設やオフィスなどの機能が分断されて計画的な街づくりができなくなる」と説明する。

神戸市による都心の土地利用に関する検討過程。2015年9月に策定した「神戸の都心の未来の姿」が基本的な方針となっている(資料:神戸市)
神戸市による都心の土地利用に関する検討過程。2015年9月に策定した「神戸の都心の未来の姿」が基本的な方針となっている(資料:神戸市)
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 都心部のタワーマンションは人口流入を促すものの、学校不足や災害対応など自治体のインフラ整備にとって頭の痛い問題の原因にもなり得る。定住人口の回復に努めてきた東京都中央区も、容積率緩和によってタワーマンションの新設ラッシュが続き、計画的な公共施設の建設が難しくなった。同区は19年7月1日に住宅確保による容積率緩和を原則廃止している。神戸市の逆張り戦略は人口減少時代の都市のあり方を見直す材料になりそうだ。