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 茨城県天心記念五浦美術館は2019年9月2日、空調設備の故障を受けて20年4月までに予定していた4つの企画展を中止すると発表した。建物全体の空調を担っていた冷温水チラーが老朽化のため故障し、展示作品の管理に適切な湿度を保てなくなった。常設展の展示は続ける。

空調機器が故障し企画展を中止した「茨城県天心記念五浦美術館」の外観(写真:茨城県天心記念五浦美術館)
空調機器が故障し企画展を中止した「茨城県天心記念五浦美術館」の外観(写真:茨城県天心記念五浦美術館)
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 同美術館は、岡倉天心や横山大観の日本画などを展示している。1997年に開館した。設計者は内藤廣建築設計事務所と茨城県土木部営繕課、施工者は松村組・岡部工務店特定建設工事共同企業体だ。延べ面積が約5800m2の平屋建て建物。常設展と企画展用の展示室があり、それぞれの面積は約370m2と約1020m2だ。大型と小型の冷温水チラーを2台ずつ設けて建物全体を空調していた。

茨城県天心記念五浦美術館の常設展の展示室内観(写真:茨城県天心記念五浦美術館)
茨城県天心記念五浦美術館の常設展の展示室内観(写真:茨城県天心記念五浦美術館)
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茨城県天心記念五浦美術館の企画展の展示室内観(写真:茨城県天心記念五浦美術館)
茨城県天心記念五浦美術館の企画展の展示室内観(写真:茨城県天心記念五浦美術館)
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 問題が発生したのは19年7月上旬。大型の冷温水チラー2台が故障して、室内の最高湿度は74%に達した。文化庁は「国宝・重要文化財の公開に関する取扱要項」で展示ケースや展示室の適切な湿度の目安を55±5%としている。同美術館によると、特に日本画の展示では湿度を55~60%に保つ必要がある。湿度が高すぎると、展示物にカビが生える危険性がある。

 湿度の変動も問題だった。1日の中での湿度差が6~8%も生じた。文化庁の同要項では、湿度の急激な変化が生じないように留意すべきだとしている。急激な湿度変化は、展示物を収縮させる恐れがある。