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 新潟県三条市の小中一体校に設置した可動床式プールの不具合を巡って市と設計者の石本建築事務所(東京・千代田)が争った裁判は、控訴審となる東京高等裁判所が2019年9月4日に判決を下し、市側の請求を棄却した。市は9月13日に上告しない方針を示した。

新潟県三条市の小中一体校に設置された可動床式プール。床材や可動システムに不具合が生じ、市と設計者が争った。プールは改修済みだが、現在は床下に支持材を追加して使用している(写真:上は日経 xTECH、下は三条市)
新潟県三条市の小中一体校に設置された可動床式プール。床材や可動システムに不具合が生じ、市と設計者が争った。プールは改修済みだが、現在は床下に支持材を追加して使用している(写真:上は日経 xTECH、下は三条市)
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 問題となったプールは市立嵐南小学校・第一中学校一体校にある。床面を動かして深さを調整するプールを水深60cmに設定して313人で授業を行ったところ、開校2年目の15年6月に床の中央がたわんで正常に作動しなくなった。市はこの不具合が、設計者による耐荷重設計のミスが原因だと主張。石本建築事務所に対して改修工事などの費用約3967万円を損害賠償として求めた。

 市が新潟地方裁判所に訴えを起こしたのは17年2月。新潟地裁は19年3月に「委託契約上の債務不履行や不法行為は認められない」として市の請求を棄却した。判決を不服とした市は3月29日に控訴したが、東京高裁は「原判決は相当で控訴に理由がない」として一審判決を全面的に支持、9月4日に控訴を棄却した。

三条市の可動床式プールを巡る経緯(資料:取材を基に日経 xTECHが作成)
三条市の可動床式プールを巡る経緯(資料:取材を基に日経 xTECHが作成)
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 市教育委員会事務局施設管理係の阿部博文係長は、「棄却されたのは残念だ。上告しても法令違反を認められる可能性が低く、裁判の継続を断念した」と話す。一方、石本建築事務所の広報担当者は、「三条市との訴訟については会社の方針でコメントを控えている」と回答した。

 東京高裁は判決文で、「(市は)その責任を設計者に転嫁しようとするものであり明らかに不合理。地裁判決は相当であって、本件控訴に理由はない」と記述し、市の姿勢を厳しく断じている。発注者である市が責められた理由は、暗黙の了解で計画を進めた拙いコミュニケーションにある。