ワールドハウジングクラブ(東京都中央区、以下WHC)は2019年10月10日から、戸建て木造住宅のデザインやプラン、設計図書などをタイプ別に規格化・パッケージ化した“住宅キット”を、会員に提供するプラットフォームサービスを本格展開し始める。「HOME i LAND(ホームアイランド)」と名付けたサービスで、略称は「HiL(ハイル)」。
サービスの対象は、地域に根ざして事業を展開する住宅会社や工務店、設計事務所など。会員は月額5万円(税抜き)の会費で、住宅プランから実施設計レベルの図面、販促ツールなどで構成した規格住宅パッケージ「KIT HOUSE(キットハウス)」を自社ブランドとして展開できる〔図1~4〕。
建築する際には、WHCが建築資材一式を別途、有償で供給する。住宅キットの利用は月会費のみの定額制で、複数種類を複数回利用しても、追加料金はかからない。会員契約は、新規入会時は2年後、その後は1年ごとに自動更新する。
また住宅会社や工務店、設計事務所などが、自前の設計案を住宅キットとして登録したり、WHC主催のコンペを通じて採用してもらったりすることもできる。キットとして登録・採用されれば、その販売実績に応じて、規定の手数料を得られる。
このサービスには、YKK APやLIXIL、アイカ工業や旭化成建材といった建材・設備メーカーのほか、建設会社や建築設計事務所、コンサルティング会社など36社(9月25日時点)が、「応援企業」として参画していることも大きな特徴だ。応援企業は住宅キットの開発に協力する一方で、自社の製品・サービスの新たな販路開拓や新規開発の場として活用できるメリットがある。
WHCの新沼教之常務取締役は、新事業に乗り出した背景を次のように話す。「大工職の減少スピードが、住宅着工数の減少スピードを上回っている。住宅の“工業製品化”を進めて、現場を省人化・省力化できる家づくりの仕組みがますます必要になる」
担い手不足の一方で、断熱性能や耐震性能など、顧客が求める住宅の性能ニーズはますます高まっている。「住宅の工業製品化」は、そうしたニーズに、顧客が値ごろ感を抱ける価格帯で対応するうえでも、1つの解と言えそうだ。