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 青森県は、2015年度から進めてきた県庁舎の耐震・長寿命化改修工事を、19年3月に完了させた(主要工事は18年11月に完了)。鉄骨鉄筋コンクリート造、地上8階の建物の上階部分を除去する「減築」手法によって合理的な耐震改修を実現。併せて外断熱による省エネ改修を行い、外装を一新した。

南棟の外観。一部を残し、6階以上をスライスするように減築している。外装では、スパンドレル部に外断熱パネルを設置し、議場の天井から撤去したヒバ材と今回調達したヒバ材をランダムに張っている(写真:中野淳)
南棟の外観。一部を残し、6階以上をスライスするように減築している。外装では、スパンドレル部に外断熱パネルを設置し、議場の天井から撤去したヒバ材と今回調達したヒバ材をランダムに張っている(写真:中野淳)
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改修前(写真:日建設計)
改修前(写真:日建設計)
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 同県は、FM(ファシリティーマネジメント)に関しては先進的な自治体として知られる。庁内ベンチャー事業と位置付け、04年にFM推進に着手。07年には財産管理課(組織改正後は行政経営管理課)を設置し、取り組みを本格化させた。例に漏れず人口減少、財政悪化が課題となる中で、07年には「青森県県有施設利活用方針」を策定し、県有施設の統廃合や効率的な利用、保有総量の縮小に乗り出した。

 基本となる建物に関しては使い続け、改修後さらに40年程度は使用するという目標の下、順次、長寿命化改修を実施してきた。その取り組みを象徴するプロジェクトとして、県庁舎のうち老朽化した3棟の耐震・長寿命化の検討に入ったのが12年。前年の耐震診断によってIs値(構造耐震指標)は東棟の4階で最小0.38と判定が下り、倒壊等の危険性があると指摘されていた。

 検討段階では、複数のモデルを設定し、「現状平面のまま、耐震補強」「減築+耐震補強」「免震」「建て替え」といった方法を比較している。

 建物を軽量化する減築の場合、「耐震補強部分を減らせるので、執務室の分断が1カ所で済むと分かった。執務環境に影響を与えない合理的な方法であると判断が下された。免震などと比較し、コストがかからないメリットもある」と青森県総務部行政経営管理課の江戸将聖主幹は語る。改修工事費の面のみならず、床面積の減少によって維持管理費の削減効果もある。建て替え案の事業費は約180億円、減築案は約半分の86億4000万円と算定し、後者の採用を決定した(現在公表の事業費見込額は、約93億2200万円)

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