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 2019年6月施行の改正建築基準法に連動して、国土交通省が見直しを進めていた防火・避難関係規定。多岐にわたる変更点を盛り込んだ「建築基準法施行令の一部を改正する政令」が、同年12月11日に公布された。施行は20年4月1日だ。規定の合理化によって、既存ストックの改修や用途変更などがしやすくなるほか、新築時の計画の柔軟性が高まりそうだ。

 改正政令では、区画の合理化や内装制限の適用除外、排煙設備・直通階段の設置基準の見直しなどを盛り込んだ。改正に向けて国交省がこれまでに示してきた関連項目を網羅した。ただし、構造方法などの詳細は明確になっていない部分も多く、施行までに告示で示す。

「建築基準法施行令の一部を改正する政令」の主な内容。2020年4月に施行する(資料:国土交通省の資料を基に日経アーキテクチュアが作成)
「建築基準法施行令の一部を改正する政令」の主な内容。2020年4月に施行する(資料:国土交通省の資料を基に日経アーキテクチュアが作成)
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 小規模建築物については、直通階段の設置基準を緩和した。対象は3階建て以下で200m2未満の児童福祉施設や寄宿舎などだ。戸建て住宅を児童福祉施設などの特殊建築物に用途変更しやすくして、既存ストックの活用を促すのが狙いだ。

 現行では、階面積の合計が50m2超となる児童福祉施設などの用途では、一律に2つ以上の直通階段の設置が必要となる。だが、戸建て住宅には1つの階段しか設置されていないのが一般的。用途変更したくても階段の増設が障壁になっていた。今後は階段室の避難安全性を確保すれば、直通階段は1つでよくなる。

 階段室の避難安全性を確保するには、改修後の用途やスプリンクラーの有無などによって異なるものの、防火設備(10分・20分)や間仕切り壁の設置が必要になる。詳細は告示で示す。

 そのほか、実態に合わせた設計がしやすくなるよう、主要構造部を耐火構造などにしなければならない無窓居室に関する規定や敷地内通路の幅員も見直した。

 無窓居室に関する規定の見直しは、戸建て住宅にシアタールームや音楽練習室などを設置したいというニーズが高まっていることを受けたものだ。警報設備を設置したうえで、避難に支障が出ないよう基準を満たせば、無窓居室でも耐火構造としなくてよい。屋外への歩行距離や居室床面積といった具体的な基準は、告示で示す。

 敷地内通路の基準については、3階建て以下で延べ面積が200m2未満の小規模な建築物について、1.5m以上必要だった敷地内の幅員を「90cm以上」に緩和した。間口の狭い旗竿(はたざお)敷地などで駐車スペースを確保しやすくする。

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