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 鹿島と竹中工務店は2020年1月30日、建築工事の現場で活用するロボットやIoT(モノのインターネット)技術を共同で開発すると発表した。ライバル関係にあるスーパーゼネコン同士が手を組むのは異例だ。両社のロボットを相互利用しながら改良を施すほか、搬送の自動化や建設機械の遠隔操作などに取り組み、ロボットの低価格化と現場への普及を目指す。

左は鹿島建築管理本部副本部長の伊藤仁常務執行役員。右は竹中工務店技術本部長の村上陸太執行役員(写真:日経アーキテクチュア)
左は鹿島建築管理本部副本部長の伊藤仁常務執行役員。右は竹中工務店技術本部長の村上陸太執行役員(写真:日経アーキテクチュア)
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 協業の目的は、各社がそれぞれ進めている似たような技術開発を共同で実施することで無駄をなくし、ロボットの普及を加速させることにある。生産台数を増やせるので、本体価格が下がり、普及しやすくなる。現場で実際にロボットを使う専門工事会社にとっては、操作方法を習得しなくてはならないロボットの種類が減るメリットがある。「専門工事会社にしてみれば、どの建設会社の現場でも使えるロボットでなければ、導入しようとは思わない」(鹿島建築管理本部副本部長の伊藤仁常務執行役員)

 協業に関する基本合意書の契約期限は、24年3月まで。伊藤常務は、次のように説明する。「24年3月は、建設業界にとって1つのエポックとなる。残業時間の上限規制が建設業にも適用されるためだ。15%ほど作業時間が減るなかで品質を維持するためには、生産性向上が欠かせない。この時期をめどに可能な限り開発を進め、成果を出したい」

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多種多様なロボットに対応するシステムを開発

 両社はまず、「場内搬送管理システム」の開発に取り組む。現場内の資機材の搬送を自動化するシステムだ。AGV(無人搬送車)をはじめ、各社のロボットに対応できるように柔軟性を重視して開発を進める。

 搬送ロボットそのものに加えて、複数のロボットを一元管理できるクラウド型のシステムの開発にも着手した。場内搬送管理システムと連携させて使う。BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)を現場の地図情報として活用し、ロボットの遠隔監視や遠隔制御などを実現する考えだ。

建設機械を遠隔操作するシステムの効果を実証する様子。名古屋市にあるタワークレーンを大阪市から遠隔操作した(写真:鹿島、竹中工務店)
建設機械を遠隔操作するシステムの効果を実証する様子。名古屋市にあるタワークレーンを大阪市から遠隔操作した(写真:鹿島、竹中工務店)
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 並行して共同開発を進める「機械遠隔操作システム」では既に、実験を済ませている。同システムはタワークレーンの遠隔操作を可能にする技術で、実験では名古屋市にあるタワークレーンを大阪市で遠隔操作。従来と同等程度に操縦できることを確認した。

 この他、開発済みのロボットについては、鹿島の溶接ロボットや竹中工務店の清掃ロボットを両社の現場で相互に使用。現場で得られた課題などを共有し、改良に生かす。