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 社会資本整備審議会住宅宅地分科会の「マンション政策小委員会」(委員長:斉藤広子・横浜市立大学教授)は2020年2月10日、マンション管理の適正化や再生の円滑化について提言を取りまとめた。国土交通省はこれを踏まえて、今通常国会にマンション建て替え円滑化法などの改正案を提出する予定だ。

マンション政策小委員会の様子(写真:日経アーキテクチュア)
マンション政策小委員会の様子(写真:日経アーキテクチュア)
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 提言では、耐震性があっても日常生活に必要な機能を欠き、管理や改修などで対応できない老朽化マンションについて、容積率緩和などによって建て替えを促すべきだとした。

 特に、外壁の剥落などで居住者や近隣の住民に危険が生じる恐れがある場合は、耐震性不足のマンションと同様に、14年に創設したマンション敷地売却制度の対象とするよう提言した。この制度では、耐震性が不足しているマンションにおいて、区分所有者全員の同意がなくても、5分の4以上の賛成があればデベロッパーなどへの敷地売却を決議できる。

大規模団地の再生にも一手

 このほかマンション政策小委員会は、団地型マンションの再生を促すため、区分所有者全員の同意がなくても敷地の分割を可能とする仕組みが必要だとした。団地内の一部の棟を改修しながら、その他の棟を建て替えたり、敷地を売却したりしやすくするイメージだ。

団地型マンション内の敷地を分割するイメージ(資料:国土交通省)
団地型マンション内の敷地を分割するイメージ(資料:国土交通省)
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 大規模団地で合意形成を図るのは難しい。改修か建て替えか、あるいは敷地を売却して転出するか、区分所有者によって考え方が違ううえ、棟や区画ごとに意見が異なる場合も多い。小委員会は、それぞれのニーズに応じて建て替えや敷地の売却を選択できるよう仕組みを充実させるべきだとした。

 提言の背景には、マンションの建て替えを取り巻く状況の厳しさがある。建て替えに伴う区分所有者の負担額は増加傾向にあり、事業が成立しづらくなっている。問題を先送りして、マンションの住戸に空き家や賃貸が増えれば、改修や建て替えが難しくなる恐れがある。

 国交省によると、18年末時点でマンションの数は約655万戸。このうち築40年を超えるマンションは約81万戸に上り、28年末には約198万戸まで増える見通しだ。一方、マンション建て替えの実績は19年4月時点で約2万戸にとどまる。