職人のマッチングサービスなどを手掛けるユニオンテック(東京都新宿区)は、千葉県から委託を受けて実施したブルーシート張り事業者の仲介業務に関する活動報告をまとめ、2020年1月30日に発表した。この業務は、19年9月の台風15号と同10月の19号で被災した住宅の初期復旧のため、ブルーシート張りを有償で行う事業者を被災者に仲介する取り組みだ。
ユニオンテックが運営する建設工事マッチングサイト「SUSTINA(サスティナ)」に会員登録している施工管理会社や専門工事会社など(以下、事業者)のうち、同社が優良と判断した事業者を仲介。事業者は、被災住宅を現地調査したうえで依頼した被災者に見積もりを提示し、依頼者が納得した金額と仕様で契約して作業を行うという仕組みだ。19年10月15日から12月27日にかけて実施した。出張工事で発生する事業者の旅費や滞在費は県が負担する。ユニオンテックによれば、このように行政と民間企業が連携し、被災住宅の復旧支援に当たった事例としては国内初という。
同社の報告によると、この業務を通じてブルーシート張りの実施件数は合計173件。千葉県の19年10月7日時点の発表では、被災住宅でブルーシート張りが必要でありながら未実施だったのは689件で、仲介業務でニーズ全体の約4分の1に対応したことになる。
被災者から申し込みはあったが、最終的にブルーシート張りに至らなかったケースも相当数あった。申し込みはニーズ全体の9割弱に当たる604件あったが、このうち431件がキャンセルされた。
キャンセルの理由として最も多かったのは、依頼者が結果として知り合いの事業者など仲介業務とは別ルートで事業者に依頼したケースで82件。同社は報告で、仲介業務への申し込みと並行して依頼者が他の事業者にも独自に打診し、早く作業してもらえる方を選んだのではないかと推測している。続いて多かったのは、ブルーシート張りよりも屋根の修繕工事を希望したケース(32件)や自衛隊や消防などの職員に張ってもらったケース(18件)。その他、「(見積もりの)価格に納得できず」「管理会社(施工管理会社など事業者)の対応が不満」といった理由のキャンセルも数件ずつあった。
仲介対象の事業者からは合計80人の職人が参加し、千葉県内の41市町村でそれぞれブルーシート張りを実施した。職人を派出した事業者の多くは関東地方を拠点としている企業だが、北海道や大阪など、遠方から協力した事業者もあった。