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 人工知能(AI)を搭載したスーツケース型誘導ロボット(以下、AIスーツケース)が人や物を避けながら、視覚障害者を目的地まで連れて行く。こんな技術を実現するため、清水建設や日本IBMなど5社が一般社団法人「次世代移動支援技術開発コンソーシアム」を発足したことを、2020年2月6日に発表した。

設立の発起人で技術統括者を務める、IBMフェローの浅川智恵子氏。開発中のAIスーツケースについて説明した(写真:日経クロステック)
設立の発起人で技術統括者を務める、IBMフェローの浅川智恵子氏。開発中のAIスーツケースについて説明した(写真:日経クロステック)
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開発中のAIスーツケース。カメラや加速度センサー、レーザーを反射させて周囲の物体を検知する次世代センサー「LiDAR(ライダー)」などを搭載する(写真:日経クロステック)
開発中のAIスーツケース。カメラや加速度センサー、レーザーを反射させて周囲の物体を検知する次世代センサー「LiDAR(ライダー)」などを搭載する(写真:日経クロステック)
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 設立発起人で技術統括者を務めるIBMフェローの浅川智恵子氏は、米カーネギーメロン大学の客員教授で、視覚障害者のためのAIスーツケースを研究している。浅川氏は中学生のときに全盲になり、日本IBMに入社してからは視覚障害者を支援するツールの開発に携わってきた。今回のAIスーツケースは、17年に浅川氏が研究論文を発表したアイデアが基になっている。

 AIスーツケースには、レーザーを反射させて周囲の物体を検知する「LiDAR(ライダー)」や加速度センサー、奥行きを検知できるカメラなどを搭載する。こうしたデバイスで得たデータをスーツケース内のコンピューターで稼働しているAIで分析し、利用者の移動をサポートする。

 ハンドル部分には操作スイッチが付いており、ウエアラブルの触覚デバイスなどを組み合わせて、振動で視覚障害者に情報を伝える。この他、駆動装置(車輪)や電池なども備える。

 今回設立したコンソーシアムの参加企業は20年2月時点で、アルプスアルパインとオムロン、清水建設、日本IBM、三菱自動車の5社だ。活動期間は22年11月30日までの約3年間で、技術開発や実証実験、社会実装の構想立案に取り組む。

 技術開発では、AIスーツケースに必要な要素技術について、参加各社が技術提供やアドバイスを行う。具体的には、アルプスアルパインが触覚インターフェース、オムロンが顔画像認識や各種センサー、清水建設が測位ナビゲーションやロボット技術、日本IBMが対話AIや行動・環境認識、三菱自動車が自動運転やモビリティーサービスを担当する。

AIスーツケースのイメージ図(資料:次世代移動支援技術開発コンソーシアム)
AIスーツケースのイメージ図(資料:次世代移動支援技術開発コンソーシアム)
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