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 新型コロナウイルスの感染拡大の影響が、建築界にも広がっている。国土交通省は2020年2月27日、特別な事情がある場合を除き、建築士定期講習や管理建築士講習の実施を20年4月末まで控えるよう合計11の登録講習機関に要請した。20年5月以降の対応については、感染の広がりなどを踏まえて改めて検討するとしている。

定期講習の見送りを要請する国土交通省の報道発表資料(資料:国土交通省)
定期講習の見送りを要請する国土交通省の報道発表資料(資料:国土交通省)
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 建築士法に基づき3年に1回の受講を義務付けている建築士定期講習については、期限内に受講できなくなる資格者が数千人規模で発生する可能性がある。通常、期限内に受講しないと戒告または2カ月間の業務停止処分の対象となる。国交省建築指導課は「感染拡大防止を優先することが重要」とし、期限内に受講できなくても基本的には処分しない方針を示す。

 国交省が所管する1級建築士と構造設計1級建築士、設備設計1級建築士だけでなく、2級建築士と木造建築士についても同様に対応するよう、制度を所管する都道府県に依頼した。とはいえ、3年の期限内に受講できなかった建築士が、いつまでに受講すれば「おとがめなし」なのかは決まっていない。国交省建築指導課は、「状況を踏まえて検討し、改めて案内したい。短期間に受講者が集中しないよう、柔軟に考えたい」とする。

 なお、受講が4年目にずれ込んだ場合、次回の受講期限はその3年後、正式には受講した年度の翌年度の開始日(4月1日)から起算し、3年後の3月31日までとなる。つまり、本来は20年3月末までに受講しなければならなかった建築士が、中止の影響で20年5月~21年3月末の間に受講した場合、次の受講期限は22年度末ではなく、23年度末になる。

 突然の要請を受けて、登録講習機関は対応に追われている。「国交省から連絡があったのは、報道発表の前日の2月26日だった」(ある登録講習機関)。建築技術教育普及センターは、要請に基づいて3~4月に開催予定だった定期講習の中止を決めた。ビューローベリタスジャパン(横浜市)も、定期講習を3月9日から4月30日まで中止する。既にこの期間に受講を申し込んだ人には個別に連絡する。ERIアカデミー(東京都港区)も4月末までに予定していた定期講習の中止を決めた。5月以降の再開を予定している。

 同じく3~4月の定期講習の中止を決めた総合資格(東京都新宿区)は、「受講予定者などからの問い合わせの電話が鳴りやまない」と困惑する。年度末は例年、「駆け込み受講」で受講者が他の時期よりも多い傾向がある。「例年だと、3月の受講者数は当社だけで1500~2000人ほど。当社のシェアを考えると、7000~8000人ほどに影響が出るのでは」(総合資格の担当者)

 国交省は管理建築士講習についても、早期受講が必要なケースなど特別な事情を除いて4月末までの実施を控えるよう要請した。同省建築指導課は、「全面的に中止にすると事務所の開設ができなくなるなど、社会・経済活動への影響が大きいため、縮小を要請した」と意図を説明する。建築技術教育普及センターは要請を受けて受講予定者に個別に連絡。緊急を要する受講者に対してのみ、3月中に講習を実施する。