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 新型コロナウイルス感染症の患者を収容するため、中国湖北省の武漢市で2020年2月に完成した巨大仮設病棟「雷神山医院」。ユニットハウスを組み合わせ、わずか14日間という短工期で建築面積約7万9000m2、1600床を擁する施設をつくり上げてみせた。注目すべきは、その施工速度だけではない。即席の病棟ながら、院内感染を防ぐための換気計画に最新のテクノロジーをフル活用した。

雷神山医院の建設過程。2020年1月25日に建設に着手し、同年2月8日には患者の受け入れを開始した。設計者は中南建築設計院、施工者は中国建築第三工程局(写真:ダッソー・システムズ)
雷神山医院の建設過程。2020年1月25日に建設に着手し、同年2月8日には患者の受け入れを開始した。設計者は中南建築設計院、施工者は中国建築第三工程局(写真:ダッソー・システムズ)
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 雷神山医院の設計を担当したのは、武漢市の中南建築設計院 (CSADI) 。医療従事者を院内感染から守るため、病室でウイルスが拡散する様子をシミュレーションして、最適な換気計画を短期間のうちに見出した。シミュレーションにはソフトウエア大手の仏ダッソー・システムズや上海スーパーコンピューターセンターなどが協力した。

 シミュレーションに用いたのは、ダッソー・システムズが無償で提供した「SIMULIA XFlow」という、格子ボルツマン法に基づく流体解析ソフトウエア。建物の周辺や内部の空気の流れをシミュレーションできる。車両や車両部品、海洋上の船舶の流体現象などの解析にも用いられる。

 雷神山医院の設計では、次のA~Dの4つの換気システムに関してシミュレーションを実施し、比較検討した。

A~Dの4つの換気システムを比較検討した(資料:ダッソー・システムズ)
A~Dの4つの換気システムを比較検討した(資料:ダッソー・システムズ)
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